万引をした女性が店舗のバックヤードに連れて行かれる。店員や警備員は「家族や警察にばらされたくないなら、分かっているよな」などと言い、密室で嫌がる女性にわいせつな行為に及ぶ――。

 多くのアダルト作品で使用される「鉄板の企画モノシチュエーション」(AVメーカー関係者)だ。

 フィクションでしか許されないその状況を、現実にしようとしたトンデモ警察官がいた。埼玉県警の元警察官、池田高秀被告(34)である。

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 池田被告は4月、埼玉県羽生市にあるイオンモール羽生の駐車場に20代の女性A子さんを呼び出し、「過去の万引きを旦那にバラすぞ」「月に1回でいいから性行為をさせろ」などと言って車の中で1時間にわたって脅迫した。その際にA子さんの身体を触ろうとしたとして、強制わいせつ未遂罪に問われていた。

埼玉県警本部 ©共同通信社

 7月1日にはさいたま地裁で判決公判が行われ、菅原暁裁判官は「犯行は執拗で卑劣だ」として懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)の有罪判決を言い渡した。

万引きの捜査で女性の電話番号を

 黒のスーツ姿で髪を整えた池田被告は、判決が言い渡されると神妙な面持ちで裁判長の説諭に耳を傾けた。一見すると反省をしているように見えるが、裁判の過程ではとんでもない主張を繰り広げ、傍聴人を苦笑いさせていた。

※写真はイメージです ©iStock.com

 池田被告は2008年10月に埼玉県警で働き始める前は、自衛隊員だった経歴を持つ。2017年3月から羽生署地域課の須影(すかげ)駐在所に勤務していた。地元社会部記者によれば「勤務態度に問題はなく、近隣住民に人気の駐在さんだったと聞いています」という。

 しかし“人気の駐在さん”は仮の姿だった。ことの発端は今年1月、A子さんがイオンモール羽生で万引きで捕まったことだった。当時、須影駐在所に勤務していた池田被告はイオンモール内の派出所にも出入りしており、A子さんの万引き事件の時も捜査に関わったという。