未成年売春独自の市場ニーズの問題
援デリと性風俗を一律にセックスワークとすることに、プロのお兄さんお姉さんが「一緒にすんな!」というのも分かる。けれど、ここで改めて注目したいのは、上記の「(5)矜持のキープが困難」についてだ。
実はこれ、『アンダーズ』に描くような未成年の管理売春業かいにこそ、顕著な傾向。前回は未成年援デリ嬢たちの爆発するような矜持と万能感について書いたのに、どういうことかと思われるかもしれない。だが、残念ながら多くの場合、その矜持は継続しない。残酷ではあるが、それも援デリの現実の一つだ。
援デリ業者で働く少女らが突き当たるのは、まず“糞客”にどれだけ対応できるか、性器の消耗にどれだけ対応できるのかといった、個人差の問題。けれど、それはしっかりと稼ぎを得ていれば、相殺される問題だし、1日に取る客の本数を下げ単価を上げればリスクは低減される(見ているだけでも痛いので、この時点で不適正であればそれ以上この業種にこだわってほしくはないと思うものの)。
だが一方、次に突き当たる「年齢の問題」は、この問題と拮抗する。ここでいう年齢の問題とは未成年で家出生活を継続しているリスクなどではなく、「身体が発達するにつれて客がつかなくなる」という、未成年売春独自の市場ニーズの問題だ。
本当に気持ち悪くて吐き気がするが、「未成年援デリ独自の“糞客”がいる」と書いたのがこれだ。
北海道からわざわざ関東に買春遠征してくる中学校教員も
実はこの市場には、未成年の「未発達な身体的特徴」(童顔だけではなく)と、未成年で売春への慣れがないことによる「怯えのメンタリティ」「未熟で幼い言語」等々を求める客層が一定数いるのだ。それこそ、かつて取材した援デリ業者の客には、こうした少女を求めて北海道からわざわざ関東に買春遠征してくる中学校教員が居たりもした。
こうした買春客は、キャスト少女が少女らしい身体特徴をキープしている間は、そして売春に恐怖を感じている間は、リピーターとしてガンガン金を落とす。『アンダーズ』作中では主人公の里奈が「顔面偏差値」というチート技で客をリピートさせているとの言及があったが、実際には彼女の身体が未発達だったことが大きかっただろう。
「こうした客は少女が多少肥満だったりしても“幼い肥満”は買う」、なんてことを援デリ業者から聞いた日には、嫌悪感と殺意で鳥肌が立った。
だが、そう。当然ながら、こうした「児童」を求める“糞客”は、少女が少女でなくなり、売春のプロとしてメンタルが落ち着けば、金払いも悪くなるし、リピートどころかメールブロックする始末。こうなると、少女が矜持を維持するだけの収入をキープしたければ本数を増やすしかなくなるが、結局そこには「性器の消耗」が立ちふさがるという訳なのだ。