チャンスも少ないが絶対数も少ないアジア系俳優…大反対した母
アジア系の俳優は、チャンスも少ないが、絶対数も少ないのが現実。アメリカに住むアジア系の親は、弁護士か医者になることをわが子に望むからだ。若かったカンも、俳優になりたいと言った時、母に大反対された。
「あなたにそんな才能はない、やめておけと言われたよ。自分も歳を取ってきた今は、母の気持ちも理解できる。親として心配だったんだろう。わが子が苦労をするのを見たくなかったんだ。僕らみたいな人は、テレビにも映画にも出ていなかったんだから。僕らが仕事をもらえるチャンスはほとんどなかったんだよ。それも今は違ってきた。若い人たちは人種にかかわらずYouTuberとして大活躍している。そうやってどんどん金を儲けている。ミリオン(約1億円)を稼いだら、アジア系の親は、それがどんな職業であっても文句を言わなくなるものだよ(笑)」
全世界で63億ドルを稼いだシリーズにわが子が出た今、カンの母もこの職業選択に満足しているのでは。
SUNG KANG/1972年4月8日、アメリカ・ジョージア州生まれ。アメリカ生まれの韓国人俳優で、累計で何十億ドルもの興行収入を記録しているユニバーサルの「ワイルド・スピード」シリーズへの出演で最もよく知られている。ジョージア州ゲインズビル出身のカンは、2002年のサンダンス映画祭でグランプリにノミネートされたインディペンデント映画『Better Luck Tomorrow(原題)』(02)の演技で高い評価を得てたちまち名を上げた。その他の出演作にはワーナー・ブラザース配給によるシルヴェスター・スタローン主演の『バレット』(12)、『ニンジャ・アサシン』(09)、2005年サンダンス映画祭公式セレクション作品となった『The Motel(原題)』(05)、クリス・チャン・リー監督の『Undoing(原題)』(06)、マイケル・ベイ監督の『パール・ハーバー』(01)、『きみの帰る場所/アントワン・フィッシャー』(02)などがある。2007年には20世紀フォックスの『ダイ・ハード4.0』(07)にも出演した。
カンは現在ロサンゼルスに暮らしており、「ワイルド・スピード」シリーズでの役柄と同じように、余暇には車の整備をしたり、ロサンゼルスの若者たちにチームワークの大切さや車の修理方法を教えている。
さるわたりゆき/1966年生まれ、神戸市出身。上智大学文学部卒業。女性誌編集者を経て92年渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事、やハリウッド事情のコラムを新聞や雑誌、WEBサイトに執筆している。著書に『ウディ・アレン追放』(文藝春秋)。