レプリカントは人間よりも人間らしい存在へ
小「舞台は2019年のロサンゼルス。核戦争と環境汚染で地球の生物はほぼ死滅。人類も大半が遠い宇宙の植民星に移住し、残された人々は酸性雨の降りしきるスラム街で何とか生き延びている。巨大企業タイレル社は、人間以上の能力を持つ人間そっくりのアンドロイド=レプリカントを製造販売し、レプリカントは植民星で奴隷としてこき使われている」
恋「何か、SF映画やアニメではありがちな設定ですねえ」
小「ちゃう(違う)わ! 後続の作品がブレランをパクりまくったから、そう見えてしまうだけや。これやから最近の若いもんは……(涙)」
恋「はいはい、すみませんねえ。さっさと続きをお願いしますよ」
小「……(くそっ)。6人のレプリカントが植民星で反乱を起こして地球に逃亡し、ロスに潜伏する。彼らを処分する任務を負わされたのがハリソン・フォード演じるブレードランナーのリック・デッカードや。ブレードランナーとは、レプリカント専門の刑事兼処刑人のこと。デッカードは潜伏しているレプリカントを1人ずつ見つけ出して殺していく。そやけど、レプリカントにも人間と同じ感情が芽生えつつあるのに気づき、自分の仕事に疑問を抱いていくんや。ついには、タイレル社の天才社長が自ら創造した『特別なレプリカント』レイチェルと恋に落ち、彼女と逃亡の旅に出る、というのが前作のアウトライン。レイチェルの名前はよう覚えといてや。『レプリカントは感情を安定させるために、人工的に偽りの記憶を与えられている』という設定も、『2049』を観る上では重要なポイントやな」
恋「あらすじだけ聞いていると、どこがおもしろいのかよく分からないですね」
小「そらしゃあないわ。映画の本当の面白さは筋書きよりも、細部の『表現』にこそ宿るもんやからな。旧ブレランの素晴らしさは、『誰も見たことのない未来世界』を、圧倒的なリアリティとグロテスクな美しさで表現したこと。そして、『レプリカントが人間よりも人間らしい存在になっていく過程』を説得力をもって描き切ったことにあるんや」
恋「で、この話が『2049』にどうつながっていくんですか?」
小「前作の後もレプリカントの反乱が続発したため、政府はレプリカントの製造を禁止し、タイレル社は倒産。だけど、新興のウォレス社が『人間に絶対服従の新型レプリカント』を開発し、生産が再開された。一方で、反乱の可能性がある旧型のレプリカントも相当数が地球に隠れ住んでおり、ブレードランナーたちが彼らを追い続けている。君の愛するライアン・ゴズリング演じる『K』もブレードランナーの一人や。まあ、これ以上はネタバレになるから、映画館で確認してや」