サニーデイ・サービスのベーシスト田中貴さんは、全国さまざまな地方にあるカフェから呼ばれては、トークとライブのイベントを開催し好評を博しています。インタビュー後編は、ラーメン評論家としての「ラーメン愛」からアーティストにとっての音楽の場所、そして「地方カフェと音楽」の新しい可能性ついてまでお話を聞きました。

田中貴さん 1971年生まれ。サニーデイ・サービスのベーシスト

音楽の場所がライブハウスからカフェに変わってきている気がする

――田中さんはラーメンの本を出したり、食の番組に出たりと、ラーメン関連のお仕事も増えています。TwitterやFacebookでも全国各地の食べ歩きを投稿しているほどですよね。

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田中 まあ、食べたいものを食べてるだけなんですけどね。やっぱりツアーで地方に行くと、味も麺もいろいろあって面白いんですけど、店にはいろんなオッサンもいるし、そういうのを含めて面白い。

――サニーデイ・サービスのツアー以外の時期も全国を回っていますよね。

田中 NORTHERN BRIGHTの新井(仁)さんと一緒に全国を回ってるんですよ。そっちはアコースティック形態のカフェライブなんで、移動もそれほど大変じゃないし、もっと細かく地方を回ることができる。そこで友達も増えるのが楽しいですよ。やっぱり主催の人とか、呼んでくれたカフェの店主とか、そういう人たちと終わって飲みながら話したりすると一気に距離が近づきますよね。そこでラーメンの情報も得られるし(笑)。

 

――ライブハウスのツアーではないんですね。

田中 もちろんライブハウスでやることもあるんだけど、聴く方にとっても、やるほうにとっても、音楽の場所がライブハウスからカフェに変わってきているような実感があります。特に今は、ライブができるお洒落なカフェが地方にどんどん増えてるんです。PAを置いてるところも多い。そういうカフェの店主で、もともとサニーデイ・サービスの大ファンだったような人が呼んでくれる。だから、常連のお客さんにも熱心にライブを告知して勧めてくれるし、僕らのことを知らない人達さえもが、お客さんにいたりする。そんな初めて聴いてくれたお客さんが「生の演奏って気持ちいいですね」って言ってくれるんです。着いてみたら、道を歩く人が誰もいなくて不安になるような田舎町でも、だいたい20~30人は集まってくれる。で、そのまま残る人は残って、終わったあとに乾杯してワイワイ。たいしたお金にはならないですけれど、こっちとしても毎晩演奏してる方が楽しいですからね。