不朽の名作、日中共同制作スペシャルドラマ「大地の子」が、7月19日からNHK BSプレミアムで再放送されます。

 改めて「大地の子」とはどんなストーリーなのでしょうか。

「小日本鬼子」と蔑まれながらも

 1966年、毛沢東による文化大革命の嵐が吹き荒れる中、一人の男性がスパイ容疑をかけられていました。彼の名は陸一心(ルーイーシン、日本名:松本勝男)。日本の戦争孤児として中国で育った一心は、「小日本鬼子」と蔑まれながらも、優しい中国人養父のもとで高等教育を受けて育ちました。

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 その出自から冤罪事件に巻き込まれ、内蒙古の矯正施設に送られますが、あるきっかけによって製鉄所建設という中国の威信をかけた国家プロジェクトに携わることになります。その技術支援を行うのは、彼を捨てたもうひとつの祖国である日本の企業でした。

 敗戦によって日本から見棄てられ、大切な家族とも生き別れ、中国の人々からは“小日本鬼子”と蔑まれる――。大きな歴史のうねりに飲み込まれた主人公は、二つの祖国に翻弄され、悩み苦しみ、それでも懸命に自らの生き方を探し求めます。

 
 

 その姿は、現代を生きる私達に「国とは何か」「生きるとは何か」という根源的な命題を突きつけてきます。混迷する今だからこそ、世代を超えた多くの方に読んでいただきたい作品です。

日本とは、そして中国とは、果たしてどんな国なのか

 1987年5月号から1991年4月号まで月刊『文藝春秋』で連載された『大地の子』は、日本を代表する作家・山崎豊子の徹底した取材と綿密に練られたストーリー構成が織りなす壮大な大河作品です。日本とは、そして中国とは、果たしてどんな国なのか。2022年の日中国交正常化50周年を控え、世界を取り巻く環境が激変する今だからこそ、改めて本作を通し、異なる文化を持つ国との交流、その狭間で生きる個人の在り方について考えるきっかけになればと願っています。

 
 

 

 終戦後に中国に取り残された子どもたち、いわゆる“中国残留孤児”の半生を描いた本作が、約30年の長きを経てオリジナルのコミカライズ作品として鮮やかに蘇りました。現在、漫画家・かんようこさんによる『マンガ 大地の子』が「文藝春秋digital」で連載中です。