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天安門事件から32年…中国共産党の“本性”はあの夜から何も変わっていない

天安門事件から32年…中国共産党の“本性”はあの夜から何も変わっていない

2021/07/17
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「失われた30年」を経た日本が歩む道は……

 他方、当時まだわが世の春を謳歌していた日本経済は、その後「失われた10年」に陥り、2回の延長の後、今や「失われた30年」と呼称される。まるで、イソップ童話の「アリとキリギリス」を読む思いだ。

 天安門事件は、最高指導者鄧小平の決断によるものであるが、現在に至る中国共産党の路線を決定づけた事件であった。目的を達成するまで本音をひた隠しにする鄧小平戦略を「韜光養晦」と呼ぶそうだが、当時は聞いたことがない。いわば敵をあざむく兵法に西側諸国は翻弄され続け、皇帝習近平の登場により、遅ればせながら超大国米国はその脅威を間近に感じ、米中新冷戦時代が幕開けした。今後の勝負の行方は、21世紀の世界覇権を決定づけるだろう。

香港のデモ鎮圧部隊

 天安門事件は戦後のいびつな日中関係の歴史にとってもターニングポイントとなり得る事件であったが、わが国の対中政策には何らの戦略的変化もみられなかった。

 現状を冷静に観察すれば、日中関係は簡単に敵味方で割り切ることなどできないが、従来の路線が破綻をきたしたことも明白だ。温故知新、「失われた30年」がさらに40年、50年に延長されないことを念願しつつ、次世代の日本人が賢明な判断を選択できる一助にしていただきたいとの思いを込めて、当時を再現してみた。

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出典:「文藝春秋」8月号

 南隆氏による天安門事件の回想と教訓「元警察庁幹部が見た『天安門の夜』」は「文藝春秋」8月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

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元警察庁幹部が見た「天安門の夜」
天安門事件から32年…中国共産党の“本性”はあの夜から何も変わっていない

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