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拝啓 涌井秀章様 “愛の波動砲”G.G.佐藤からの手紙〜北京での無念を後輩たちが晴らしてくれたねの巻

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/08/06
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ああ、なんだか救われたような気がします

 そして、2021年8月4日という日がやってきました。ここまで全勝で勝ち進んだ日本の準決勝の相手は宿敵・韓国。オリンピックに限って言えば、日本はこれまで韓国相手に0勝4敗。実力では決して劣らないはずなのに、どうしても勝てない相手。韓国と相対すると日本はなぜか実力が出せなくなる。そして、韓国は120%、いやそれ以上の力を発揮してくる。

 日本の先発は山本由伸投手。彼は本当に良い投手ですね。初回を切り抜けたあとは危なげなく快投を続け、これが日韓戦?と思ってしまうくらい安心して見守ることができました。そのなかで、日本は2点を先制。とても良い展開。

 しかし、6回の表。先頭のパク・ヘミン選手がレフト前にヒットを打つと、近藤健介選手が打球をファンブルして2塁まで進んでしまいました。立ち込める暗雲。思い出される13年前。僕には近藤選手の気持ちが痛いほど伝わってきました。レフトへの強い打球はゴロでも軌道がかなり独特で、きっと処理を間違えたのでしょう。その時に知りましたが、近藤選手は僕と同じ千葉県出身で、しかも誕生日も同じ8月9日。そのほかにも元捕手、指名打者、高校が神奈川県(編集部注:G.G.佐藤氏は桐蔭高校、近藤選手は涌井選手と同じ横浜高校)など数多くの共通点があるではありませんか。13年の時を経て、こんなに経歴が似ている選手が同じレフトを守るなんて信じられません。ツイッターでは「GG近藤」などという言葉がトレンドに入る始末。

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 そして、日本は2点を失い、今大会初めて相手チームに追いつかれる展開となりました。

 しかし、リリーフで登板した伊藤大海投手の勝ち気なピッチング。そして、山田哲人選手の豪快なスイング。13年の時を経て、日本の野球もまた進化していたのでした。

号泣する筆者にニコ生は祭り状態 ©G.G.佐藤

 日本、韓国を破ってメダル確定。

 こんな嬉しい言葉はありません。ゲームセットの瞬間、恥ずかしながら僕は号泣してしまいました。脳裏に焼き付いた背番号「16」の背中。飛んでくる白球。色々な事がフラッシュバックしていきました。ああ、なんだか救われたような気がします。

 後輩たち、とても頼もしいですね。こうなったら金メダル獲って貰いましょう。

 そして、13年前のあの日、捕ってやれなくて、本当にごめん。やっと心の底からこの言葉が君に言えるような気がします。

 敬具

愛の波動砲・G.G.佐藤より

試合後の朝鮮日報の取材でもニコニコの筆者 ©G.G.佐藤

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