私は妻と2人で暮らしている。妻と知り合ってからは18年以上が経つ。
その間、私はもちろんずっと巨人ファン。しかし、妻は巨人どころか野球自体に興味を持たず、フィギュアスケートに夢中だ。羽生結弦選手の大ファンで、毎回キラキラした目で羽生選手の試合を観ている。「氷上」で輝く羽生選手を妻は「表情」を輝かせて応援している。
野球に興味のない層をも振り向かせる「二刀流」の魔力
しかし、そんな妻に変化が起きた。エンゼルス・大谷翔平選手に夢中なのだ。妻が言うには「春夏は大谷くん、秋冬は羽生くん」だそうだ。
試合がある日は毎日のようにテレビ観戦をしている。大谷選手が画面に映ると「カッコいい! 素敵~!」。チラッと私を見て「全然違う~!」「やかましいわ!」「大谷くん、身長193cmだって。あなたが横に並んだらちんちくりんだね」……大谷選手の横に並んだら大抵の人がちんちくりんだと思う。
ある日2人で飲んでいたら、妻がリビングで寝てしまった。風邪を引くといけないので「ねぇ、寝るならベッドに行きなよ」と言うと、一瞬目を覚まし「大谷くんだけが生きがいです」と言って、また寝てしまった。夢の中まで大谷選手なのだ。
今季、大谷選手が松井秀喜さんに並ぶ31号本塁打を放った時は興奮気味に「大谷くんすごい! 31号打ったよ」と言うので、「まるで混んでる病院の社員食堂だな。そう、松井氏(待つ医師)に並んだ」と返すと「いいね! いいね! しかも今日、日本時間では大谷くん誕生日なんだよ」と言ってきたので「さすが『メジャー』だけあってメモリアル(目盛り有る)ってことだな」とさらに返すと、ニコニコしながら座布団を運んできた(笑)。
なぜ野球に興味がなかった妻が大谷翔平選手に夢中になったのか? 聞いてみると「だって見た目もカッコいいけど、ピッチャーなのに投げない日はバッターで毎日出てるんだよ。そして大活躍! 凄いじゃん!」との答え。そうか、二刀流という点が妻を惹きつけたのか。
そこで私は、今までの巨人で二刀流でも通用したかもしれない投手を考えてみた。
あくまで私の妄想である。巨人はセ・リーグなのでDHがない。野手として出場するのでその分、怪我のリスクも上がるし疲労もたまる。妄想なので、そのあたりのことは考えないことにして進めていく。
まず現役で打撃がいいと言われている菅野智之投手の打撃成績を見てみよう。2021年7月終了時点までの通算成績は打率.159、本塁打1本。もっとも打率が高かったのが2016年の.222である。
さらに過去の選手を見てみると、堀内恒夫さんが通算打率.172、本塁打21。金田正一さんは通算打率.198、本塁打38。金田さんの38本塁打は投手の本塁打数としては歴代1位だ。素晴らしい数字である。
こうして見てみると、投手で打率2割を超えるのは大変なことだとわかる。そんな中、二刀流で通用したかもしれない投手が2人出てきた。