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森敬斗、鈴木尚典、田代富雄…ホエールズ・ベイスターズ“地元出身者”の系譜〈一覧表付き〉

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/08/10
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優勝時の主力を次々に獲得していった80年代後半~90年代前半

 80年代に獲得した地元出身選手の代表格は85年ドラフト五位の相川英明だろう。夏の甲子園出場こそ逃したものの横浜高で活躍し、入団一年目から4勝、二年目には完封をマークするなど台頭。ついに地元出身エース誕生!とファンは期待したが通算12勝に終わってしまった。

 80年代後半~90年代前半は木庭教スカウトの方針が浸透し、98年優勝時の主力を次々に獲得していった時期。90年ドラフトでは横浜高から鈴木尚典が入団し、94年ドラフトでは紀田彰一、多村仁と横浜高から2人同時に入団。後には同期の矢野英司もベイスターズ入りを果たした。2度首位打者に輝いたベイスターズ最強打者鈴木、厚木生まれで大洋ファンだったという多村のブレイクは確実に現在の地元出身選手獲得志向に繋がっているはず。その後も横山道哉、小池正晃と横浜高OBが戦力になっているし、この時期だとY校出身の河原隆一、厚木高出身の川村丈夫の存在も大きい。

 横浜高のライバル、桐蔭学園出身選手はと言うと、将来間違いなくベイの星になるであろう森敬斗以前だと少なく、慶大~日本石油を経て入団した小桧山雅仁に、トレードでやってきた長内孝が主力級。広島で活躍し、今もカープのイメージが強い長内だがホエールズからベイスターズに移行する過渡期に2年間だけ神奈川に戻ってプレーしてくれたのは印象深い。

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森敬斗

 もうひとつの神奈川の強豪、東海大相模出身選手は少なく、過去では稲嶺茂夫が目立つぐらい。今年巨人から入団した田中俊太のスーパーサブ以上の活躍に期待したい。また厚木生まれの細川成也、横浜市青葉区生まれの大貫晋一、大阪生まれだが横浜育ちの楠本泰史も現役地元出身プレーヤーである。

 最後に、72年の球団史における神奈川出身選手の一覧を記して締めとしたい。横浜高の初戦は明日11日の第二試合、相手は広島新庄だ。

【ホエールズ~ベイスターズ歴代神奈川出身選手一覧】
※神奈川の高校出身選手および神奈川生まれで他県の高校に進学した選手を抜粋。五十音順。名前の後ろは出身校(名称は在学当時)。◎=現役で在籍 ▲=他球団からの移籍組

【投手】
相川英明 横浜
青木秀夫 鶴見工
阿波野秀幸 桜丘▲
安斉雄虎 向上
石井裕也 横浜商工▲
稲嶺茂夫 東海大相模
石川達也 横浜◎(育成契約)
大貫晋一 静岡・桐陽(横浜生まれ)◎
長田秀一郎 鎌倉学園▲
加賀美希昇 桐蔭学園
加藤大 横浜隼人◎(育成契約)
河原隆一 横浜商
川村丈夫 厚木
岸勝之 横浜
木田勇 横浜一商▲
呉俊宏 法政二
小桧山雅仁 桐蔭学園
古村徹 茅ヶ崎西浜
高松秀恒 小田原城東
土屋健二 横浜▲ 
野村収 平塚農業
平岡一郎 横浜
松本隆春 横浜商大
松本隆之介 横浜◎
松山傑 横浜商大▲
三橋直樹 向上
矢野英司 横浜
横山道哉 横浜
若田部健一 鎌倉学園▲

【捕手】
大塚義樹 向上▲
小田嶋正邦 山形・東海大山形(相模原生まれ)
片平保彦 横浜
黒羽根利規 日大藤沢

【内・外野手】
荒井幸雄 横浜商▲
荒波翔 横浜
飯田幸雄 横浜▲
石川雄洋 横浜
枝村勉 鎌倉学園▲
岡本三男 横浜商▲
岡本龍二 山北
長内孝 桐蔭学園▲
乙坂智 横浜◎
河村和茂 向上
紀田彰一 横浜
楠本泰史 埼玉・花咲徳栄(大阪出身横浜育ち)◎
倉本寿彦 横浜◎
桑田武 東京・荏原(横浜生まれ)
小池正晃 横浜
後藤武敏 横浜▲
斉藤秀光 横浜商大▲
芝野忠男 鎌倉
鈴木尚典 横浜
高木由一 淵野辺
田代富雄 藤沢商
田中俊太 東海大相模▲
多村仁 横浜
筒香嘉智 横浜
内藤雄太 横浜商工
西山茂 横浜
畑口健二 法政二
長谷川国利 東海大相模
福本誠 法政二
細川成也 茨城・明秀学園日立(厚木生まれ)◎
的場祐剛 法政二
宮下正彦 東海大相模
武藤輝明 逗子開成
森笠繁 国学院久我山(横須賀生まれ)▲
森敬斗 桐蔭学園◎
山中博一 横浜
吉田好太 桐蔭学園▲

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