日本の独立リーグからも代表選手が!
7月になって発表されたロースターには、ロッテのブランドン・レアードの名前があった。2017年のWBCでもナバーロとともに中軸を打ち、出場すれば日本の脅威になると思われたが、その後直前になって出場辞退を表明した。
最近、レアードは登場のときに「I Like Sushi Sushi Sushi」というすごい音楽をかけているが、オリンピックでも例の「寿司ポーズ」をするのかどうか、注目していただけに残念だ。
他の代表選手は、日本であまり長くプレーしていない。
MLB通算162安打、9本塁打のラミロ・ペーニャは2017年広島でプレーしたが、その1シーズンだけ。投手のサミー・ソリスは196㎝の長身左腕、2019年シーズン中にDeNAに入団したがわずか4試合投げただけで左肩の故障のため退団した。
また、同じ2019年にオリックスに入団した内野手のジョーイ・メネセスは、AAAでMVPを獲得。当時まだ26歳と若く大いに期待され、MLB未経験者には異例の1.1億円の年俸で契約した。しかしドーピング検査でNPBが禁止している筋肉増強剤の成分が検出されたため契約解除となった。NPBでは29試合の出場にとどまった。
変わり種として、セサル・バルガスはMLBでは7試合0勝5敗という成績だが、今春、独立リーグのルートインBCリーグ、茨城アストロプラネッツに入団。5勝2敗1セーブ、防御率1.64という好成績で、東京五輪のメンバーに選出された。独立リーグからの五輪選出はこれまでなかったルートだ。
7月20日、メキシコチームは、前出のサミー・ソリスとヘクター・ベラスケスの2選手が新型コロナ陽性になったと報じられた。メキシコは7月31日に侍ジャパンと対戦する。勝敗よりもまず「無事に試合ができる」ことを祈りたい。
日本の最大のライバル・韓国
日本の最大のライバルと目される韓国は、KBO(韓国プロ野球)の精鋭を選抜してやってくる。陣容は日本に次いで厚い。
日本のファンに馴染みがあるところでは、阪神でクローザーとして活躍した呉昇桓 (オ・スンファン)が追加召集された。39歳だが今季もサムスンで27セーブを挙げているだけに、手ごわい相手になるだろう。
日本以外の5チームで、現、元のNPB選手がいないのはイスラエルだけ。このチームは、国際大会のたびにアメリカでキャンプを張ってユダヤ系の選手を招集して選抜し、チームを編成している。ほとんどが実績のない選手だが、情報戦に長けているうえに選手の士気が高い。2017年のWBCでも韓国やオランダ、キューバが番狂わせで負けている。日本とは違う組だが、侮りがたい存在だ。
野球「最後の五輪」の主役は…
五輪野球競技の代表チームを俯瞰すると「NPB出身外国人を主力にするチーム」対「NPB日本人選手」という図式が見えてくる。
これまでも侍ジャパンは、格下とみられるチームに大苦戦をすることがしばしばあった。五輪へのあこがれが強い日本人選手は、プレッシャーのために本番で力を発揮できないことがしばしばあるのだ。
次回パリ五輪では野球競技が行われず、それ以降も復活の可能性は低い。実質的に「最後の五輪」である。金メダルに向けてどんなドラマが繰り広げられるだろうか?