楽天の田中将大選手や、阪神の佐藤輝明選手ら最新データを搭載した本格派野球ゲーム「eBASEBALLプロ野球スピリッツ2021 グランドスラム」(Nintendo Switch)を7月8日に発売するコナミデジタルエンタテインメント。もう一つの人気野球ゲーム「実況パワフルプロ野球」シリーズもあわせ、長年にわたって野球ゲーム市場を引っ張る名作を展開し続けている同社は、どのようにシリーズを制作しているのでしょうか。
「パワフルプロ野球(パワプロ)」シリーズのプロデューサーの松井徹哉さん、「プロ野球スピリッツ(プロスピ)」シリーズのプロデューサーの山口剛さん、リードプランナーの豊原浩司さんを直撃しました。
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シリーズ誕生のきっかけは野球好き上司の一声
――1994年にはじまった「パワプロ」シリーズ。誕生の経緯はどのようなものだったのでしょうか?
豊原:初代、スーパーファミコン版の話ですね? 当時の上司が野球好きで「野球ゲームを作れ」という指示があったことがきっかけでした。
――あの当時、野球という複雑な動きのあるゲームを再現するのはかなり大変だったと思います。実際、昔の野球ゲームはアクションゲームとしての完成度に限界があり、ランナーが2塁にいるチャンスでもワンヒットでホームまで生還できないなど、現実とのギャップも大きかったですよね。
豊原:そうなんです。スコアリング・ポジション(得点可能な位置)なのに……。当時の野球ゲームは、パスボールや振り逃げ、インフィールドフライはもちろん、守備シフトもありませんでした。
私としては、プロ野球をより深く再現したかった。また、アクションゲームが好きだったので、野球ゲームをアクションゲームとして成立するようにしたかったんです。
――そうした強い思いが25年以上続く名シリーズにつながったんですね。子どもの頃から野球に興味を持っていたんですか?
豊原:実は……最初は野球に興味がありませんでした。パワプロを手掛ける前に他の野球ゲームを作ったことがあり、野球規則集を読み込むなど勉強して、そこで面白さに気づいたんです。
松井:ゲームを作る人は凝り性が多いんです。スノーボードのゲームを作って、実際のスノボにハマるとか。そういうケースは多かったりします。