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「『負け運』は良い投手につく能力なんですよ」野球ゲームの選手データどう決める? コナミに聞いてみた。

「『負け運』は良い投手につく能力なんですよ」野球ゲームの選手データどう決める? コナミに聞いてみた。

2021/07/10
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人気ゲーム「パワプロ」と「プロスピ」何がちがう?

――「パワプロ」人気ゲームに成長した一方で、21世紀になると2004年に「プロスピ」というよりリアル色の強い野球ゲームも生まれ、こちらも人気シリーズになっています。両者は同じ野球をテーマにしたゲームですが、共通点・違いはどういった所になるのでしょうか。

山口:「野球ゲーム」という意味では同じで、選手データも基礎は同じものです。球団ごとに「番記者」的な担当がいて、ミートやパワーの能力値を作っていきます。ただ、プロスピは選手の個性をより出すようにしています。

 実際のプロ野球では、左投手に対してはボールの見えやすい右打者が有利……というセオリーがありますが、プロスピでは実際の成績をベースにデータを決めて、左投手に対してミート能力の高い左打者もゲームでは再現しています。

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采配や選手の細かな動きなど、「パワプロ」よりもいっそうリアル路線が進んだ「プロスピ」

――ゲームではアルファベットで段階的に選手たちの能力が表されています。様々な成績データをどうやって落とし込んで反映させているのでしょうか?

豊原:(外部からの)提供データは、打率、打点、守備率など、一般で見られるバージョンのもう少し詳細なデータです。そこに弊社のツールを使って能力を変換。さらに各担当者の分析・考えを反映させていきます。データは直近だけでなく、実績を加味することもあります。

「2年目のジンクス」には担当も悩む

――あまり実績のない若い選手の場合はどうしていますか?

山口:好成績を収めた新人選手の2年目の能力値は悩むところです。実際、「2年目のジンクス」と言う言葉がありますが、ルーキーで活躍した選手に対して翌年版のデータを作る際に1年目の成績をストレートに反映させすぎると、2年目のシーズンが始まったとき思うほど活躍できなかった場合、ファンの方から怒られたりします。単年で活躍した選手と、数年間活躍した選手は、同じ扱いにできないんですよ。

――では、今シーズンの阪神のルーキー・佐藤輝明選手のようなケース(66試合時点で打率.285、19本塁打と大活躍)は評価が難しいですね。

「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」で今年4月、開幕仕様にバージョンアップされた際の阪神・佐藤輝明選手。新人選手の能力データには、担当者も頭を悩ませるという

豊原:5月に「eBASEBALL プロ野球スピリッツ2021 グランドスラム」用に選手データを作成したとき、新人としてはかなり高めの能力値(パワーB、72)を付けました。でも結果はごらんの通り。今後のアップデートで対応していかないと……。

松井:一方で、今の成績だけですぐ能力を上げるのは怖い面もありますね。ただ、活躍する選手が増えるほうがプロ野球自体が盛り上がります。いい意味で悩んでいるのは確かです。