パワプロ「2頭身キャラ」の秘密
――そうやって生まれた「パワプロ」は、たしかにアクションゲームとしてとても良く出来た名作スポーツゲームだったと思います。独特の2頭身キャラも印象的でした。
豊原:リアル志向でやりたかったんですが、当時のゲーム機の限界もあり……。ただ、丸いキャラの方がアクションゲームとしてプレーしやすいというのもありましたね。
――たしかに2頭身だとキャラクターが画面上に大きく映るので、ひとつひとつのモーションも大きく、それゆえにパッと見ただけで何をしているのか想像できますね。子どもの頃にプレイして遊んだという大人の中にも、パワプロといえばあの2頭身キャラを思い出す人も多いと思います。
松井:見た目が可愛くて簡単そうなのに、中身が本格派の野球ゲームというギャップもあったと思います。リアルだったら、かえって話題になっていなかったかもしれませんね。
――ゲーム性の高さにつながるお話でいえば、満塁になると打者の能力が上がる「満塁男」や、投手として自分が登板していると味方打線が打たなくなる「負け運」などのユニークな特殊能力がシリーズではお馴染みです。あれは、どのように考えているのでしょうか?
豊原:特殊能力の多くは、野球用語から取り入れています。「満塁男」なら、駒田徳広選手(巨人―横浜)とか……。報道で言われるような、ファンの皆さんが口にする能力は入れていますね。ちなみに「負け運」は、好投しているのに勝てないという条件なので、実は良い投手につく能力なんですよ。能力をつけられたご本人がどう感じるかは分かりませんが……。
山口:また、お祭り的な試合、ポストシーズンで活躍する選手もいますが、そういう選手はファンの中で印象に残ったりしますよね。スポーツ新聞をはじめ、野球の刊行書籍、放送で取り上げられる機会も多いので、野球ファンやメディアの方が取り上げた話題については特別な特殊能力を付けたり素直に反映させることが多いです。