文春オンライン

2021/07/25

「ドミニカ共和国生まれ日本育ち」のエースが投手陣を支える

 アルバート・プホルスからフェルナンド・タティス・ジュニアまで、メジャーリーグで多くのスター選手を輩出しているドミニカ共和国だが「25人枠選手は出場できない」というMLBの規定によって、トップクラスの選手は代表に選出されていない。

 投手陣には今季巨人で投げている投手が2人いる。エンジェル・サンチェスとC.C.メルセデスだ。ドミニカ共和国の投手陣は高齢の上に実力はこの2人が飛び抜けているため、彼らが投手陣の軸になると考えられる。

 31歳のサンチェスはパイレーツで1勝、韓国のSKで25勝を挙げ、それなりに実績のある投手。一方で27歳の左腕C.C.メルセデスは、MLBのレイズ傘下で投げたものの3年で解雇され、広島がドミニカ共和国で運営するカープアカデミーに入団、しかしここも1年でクビ。トライアウトを受けて2017年に巨人に育成で入団した。

 そこから頭角を現し、今では巨人先発陣の一角を占めるまでに成長。制球力や打者への配球などを日本で一から学んだ、いわばドミニカ共和国生まれ日本育ちの投手なのだ。今季は出遅れて6月に一軍昇格したが、ここからは5勝1敗、防御率2.31という好成績で状態も良い。

 侍ジャパンは7月28日の開幕戦、予選リーグA組でドミニカ共和国と当たるが、恐らく先発はC.C.メルセデスになるのではないか。

 育ての親への恩返しとばかりにメルセデスは力投するだろう。侍にとっては最初の強敵になるはずだ。なお、メルセデスの五輪代表としての登録名は、クリストファー・クリソストモ、つまり「C.C.」の部分になる。

メキシコやウィンターリーグで投げ続けていた「バルデスおじさん」

 また、日本のファンがよく見知ったこの投手を忘れるわけにはいかない。1977年生まれのラウル・バルデスだ。

 キューバで生まれ、1990年代後半にキューバ国内リーグで活躍しオールスターにも出場したが、5度も失敗した挙句にドミニカ共和国に亡命、MLBではメッツ、フィリーズ、ヤンキースなどで主として救援で投げるもパッとせず、38歳で中日にやってきた。

 常にQS(6回以上投げて自責点3以下、先発投手の最低限の責任)をクリアする安定感で3年間プレーし、茫洋として実年齢よりも老けた風貌で選手やファンからは「バルデスおじさん」「じいちゃん」などと親しまれた。

メキシコで力投する元中日のバルデス(2018年2月撮影)©AFLO

 自由契約になった時点で40歳だから普通ならここで引退だが、バルデスはメキシカン・リーグで投げるとともに、冬季はウィンターリーグにも参加し、今回もメンバーに名を連ねた。

 このほか野手では2015年に巨人に在籍したホアン・フランシスコの名前もある。

メキシコの「五輪行きを決めたクラッチヒッター」

 2019年にメキシコ、台湾、韓国、日本で行われたプレミア12は五輪予選を兼ねていた。この大会で北中南米の国で最上位になると五輪出場権を得ることになっていたが、メキシコは、東京ドームでの3位決定戦でタイブレークの末に3-2でアメリカを下しオリンピック出場が決まった。

 この試合でサヨナラ安打を中前に打ったのが、エフレン・ナバーロ。当時阪神に在籍していたが、この年0本塁打2打点、打率.209という不振。戦力外は決定的だった。大会の活躍で日本での契約延長を勝ち取ることは出来なかったが、「五輪決定打」を放ったクラッチヒッターぶりを発揮すべく、東京五輪本戦にも出場する。