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アンケートは「する」?「とる」?広まってきているのはどっち?《その道37年の辞書編集者に聞いてみた》

微妙におかしな日本語 #10

2021/08/21

 日常で使う様々な言い回し。話していて、書いていて、ふとした瞬間に「あれ、これで言い方あっていたっけ……?」と疑念がよぎることはないだろうか。

 そんな日常で直面する「微妙におかしな日本語」について、『日本国語大辞典』の元編集長で、辞書一筋37年の神永曉氏が解説した『微妙におかしな日本語――ことばの結びつきの正解・不正解』より、一部を抜粋して引用する。

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 アンケートはフランス語enquêteからで、元の意味は調査、問い合わせということである。日本語の「調査」の場合は、「調査をする(行う・実施する)」という言い方が普通であろう。だとすると、「アンケート」も「アンケートをする(行う・実施する)」と言う方が自然だということになる。だが実際には「アンケートをとる」という言い方はかなり広まっている。

「アンケートをとる」という言い方が生まれたのは、「とる」が数量をはかる、調べるという意味で使われている「統計をとる」などに引かれた可能性が高い。話しことばとしてはあまり違和感なく使われているが、やはり公的な文章など改まったケースでは使わない方が無難であろう。

 また、アンケートの原義は「調査」なので、「アンケート調査」は重複表現だと考える人もいる。NHKでは放送での使用は認めつつも、重複表現だと思う人に配慮してであろう、使用には注意するようにとしている。