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大事なのはミスをした次のプレイ

 サッカーでも野球でも「試合勘」という言葉が使われます。どちらも、実戦によって磨かれる感覚、という意味合いでしょう。

 私自身はケガなどで1、2か月コートから離れても、ほとんど気にしません。身体さえ問題なければ、すぐに実戦に復帰していました。たとえ負けることがあっても、「試合勘が鈍っていたからだ」とは思いませんでした。

 気になることがあるとするならば、試合から遠ざかることで正しいプレイの選択ができなくなる、ということです。

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 試合勘が鋭いのか、鈍っているのかは、競り合った場面で浮き彫りになります。競り合っているからプレッシャーがかかっていて、1ポイントがものすごく重要です。19対19なら次の1点を取ればゲームポイントを握れますが、相手にポイントが入ったら逆にゲームポイントを握られてしまう。

 勝敗の「際」と言っていいそういう場面では、誰でも不安を覚えます。不安ではなく恐怖と言ってもいいかもしれない。突如として「あ、どうしよう、どうしよう」と自信が揺らぐのが試合勘のない状態で、つまりはメンタルに関わるものだと思うのです。

©JMPA

 実際のプレイ中の現象としては、際どいところを攻めきれずに安全なところへ打つとか、ギリギリのところへ決めに行き過ぎてミスをする、といったことが起こります。

 少なくともふたつの選択を持って、選手はプレイしています。「あっちかな、いや、こっちかな」というジャッジをコンマ何秒で下していくのですが、それが「そっちかも」と思った瞬間に追いつかなくなったり、甘い球筋のレシーブになったりする。

 その1球の選択で、バドミントンのラリーはすべてが変わります。

 たとえば、15対10のスコアでも、「この場面でのあのミスは、もう追いつかれたも同然だね」というミスがあります。スタンドで観ている人には何気ないミスでも、当事者たちはミスの意味を理解します。ミスをした側は「うわあっ、やっちゃった」と心のなかで頭を抱えて、相手側は「来た! もうちょい我慢だ、ここで詰めていける」と手ごたえをつかんでいる。ここが大事だから繊細に、かつ大胆に、といったメンタリティになり、それがまたポイントを詰めることにつながっていく。

 球技では「勝負を分けた1球」などと言われるプレイがあります。バドミントンでもワンプレイのチョイスミスで一気に流れが変わり、ポイント差が開く(あるいは、縮まる)ことがあるのです。