高校駅伝や箱根駅伝で活躍し、昨年の東京マラソンでは、自身の持つ日本記録を21秒縮める2時間5分29秒をマークした大迫傑選手。 また、先月29日には自身のTwitterで、8月8日の五輪でのマラソン出場を最後に、現役を引退する意向を表明した。
大迫選手は東京オリンピックに向けて、日誌を付けていた。そのノートには、ケニアで練習する難しさやSNSのストレス、競技以外の悩みなど、揺れ動く感情が赤裸々に書きとめられている。『決戦前のランニングノート』(文藝春秋)より一部抜粋して、大迫選手の日誌を紹介する。(全2回の2回目/#1を読む)(初出:2021年7月22日)
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2021年3月11日 僕にとっての東京オリンピック。
僕にとって、オリンピックはとても大きなものです。
オリンピックの最初の記憶は、7歳のときに見た長野オリンピック。細かなシーンは覚えていないのですが、あのオリンピックをきっかけにジャンプの選手になりたいというところから始まって、オリンピック選手になるのが僕の夢になりました。子供の頃によく書かされる“将来の夢”にも「オリンピック選手になる」と書いていた記憶があります。
競技生活を振り返っても、原動力のひとつとしてオリンピックは外せませんし、あの舞台で日本人が活躍する姿を見せることが、次のジェネレーションのモチベーションになると思っています。
東京オリンピックは、僕にとって2度目のオリンピックになります。前回のリオオリンピックは5000mと10000mに出場しましたが、単純にもう少し頑張りたかったなという気持ちと、トラックで世界と互角に戦う難しさを痛感しました。そして、あのとき惨敗したことで、自分がどれだけ速いかは分からないけれど、マラソンに挑戦したいという思いが強くなりました。