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 さらに、世界中に信者がいる決して小さくない宗教団体の思想であれば、その影響力はあなどれない。

 誰もが知っているであろう有名な神話「アダムとイヴ」には、興味深い前日譚が存在している。

 6世紀に東方からヨーロッパに伝わったとされるイスラエルの書物「ベン・シラのアルファベット」によると、アダムにとって最初の妻はイヴではなく、リリスという名の女性であったという。

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 リリスは、神によってアダムと同時に同じ塵から作られた。リリスはアダムに対して平等を要求したが、アダムが彼女を自分の下にしようとすると、彼女は楽園から空に逃亡した。そしてリリスは悪魔と交わって妊娠し、1日に100人以上の子を産んだ。神は3人の天使を遣わし、リリスに対して「アダムの元に帰ることを拒否すれば子供を殺す」と脅した。これに対してリリスはアダムの元へ帰ることを拒否したため、神はアダムの肋骨からイヴを作り、アダムを手伝う後妻としたのだ。

写真はイメージです ©iStock.com 

差別解消の道に立ちはだかる「巨大な壁」

 日本でも、仏教のとある宗派では僧侶が妻のことを外で「飯炊き女」と呼ぶ風習が現代においても残っているという。

 私自身は無宗教であるが、宗教そのものを否定しない。人間が何かに救いを求めるのは自然なことであるし、歴史的背景を考えれば、法治国家が出来上がる前には宗教は統治の役割をも担っていただろう。

 しかしながら、こうした宗教や文化など、その地やそこで生きる人間たちが代々受け継いできた血脈のように根強い思想は、いわば彼ら彼女らにとっては疑いようのない「常識」であり、簡単に覆るものではないと思う。

 私は宗教を否定しないが、差別を肯定したくない。しかしながら、男女差別やLGBTQ+差別の問題解決を目指すとき、私たちはこの限りなく大きな壁にぶち当たるだろうし、なんならすでにもうぶち当たっていて双方の主張が激しく衝突している状況を考えると、これをどう打破するべきか、頭を悩ませている。

 私のもとには約束通り、某宗教団体の関係者の男性から、計3回の「教え」が届いた。彼のいう通り、読み終わってから男女平等をゼロベースから再び考えてみて、今は、差別解消に向け、目の前にそびえ立つ「巨大な壁」の取り壊し方を、効果的なアプローチの方法を、ひたすらに考え続けている。