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「※お名前はお呼びしない」という注意書き

 平田氏の顧客メモの欄には、こうした注意書きも記されている。

《社長ご紹介》

 

《※お名前はお呼びしない》

 

《※お水はラベルはがしておく》

「《※お名前はお呼びしない》という注意書きは芸能人や、“後ろ暗い”ところがある方に記載されます。平田さんの場合はご自身が希望されたのか、店側が忖度したのかはわかりませんが、名前を呼ぶとマズイ、という判断だったのでしょう。RIZAPでは店のロゴが入ったペットボトルの水を出すのですが、《※お水はラベルはがしておく》と書かれているので、通っていることを隠したいのかもしれません。これは平田さんのご希望があったんだと思います」(同前)

RIZAPの顧客データベース (RIZAP関係者提供)

 しかしながら、取材班が同日にRIZAP GOLFへ入ると、「16:00~平田様」と店舗受付のホワイトボードに堂々と書かれ、名前呼びは解禁されていた。200回以上通ったことで、警戒心が緩んでいるのだろうか。

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平田氏だけが“ゴチゴルフ”の特権を行使できるワケ

 なぜ名だたる顧客がいるなか、平田氏だけが“ゴチゴルフ”の特権を行使できるのか。

「RIZAPは平田氏が事務局長を務めるオリパラ事務局が主導する『beyond2020 マイベストプログラム』の認定を受けています」と証言するのは、オリパラ事業に詳しい政府関係者だ。

「1964年に開催された前回の東京五輪では、大会に向けて新幹線や首都高など“ハコモノ”が整備され、それが政府のレガシーとなりました。しかし東京五輪2020は国立競技場の建て直しなどの段階から予算が膨らみ、ハコモノの増設は難しい。そこで企業や自治体が、スポーツを通して国民の健康増進を図るという“ソフト面”での取り組みを、レガシーとして残そうという取り組みが広まり、『beyond2020 マイベストプログラム』が始まりました。

「beyond2020 マイベストプログラム」ライザップ認証。左からRIZAP株式会社の迎鋼治取締役、平田竹男氏  (RIZAP株式会社プレスリリースより)
(「beyond2020 マイベストプログラム」公式サイトより)

 このプログラムは個々人が健康面での“マイベスト”を目指そうというプログラムで、その取り組みを支援する事業や活動は認証を受けることができます。この第1弾認証事業にRIZAPが選出されているのです。

 認証を受けたところで、『マイベストマーク』というロゴを使用できることくらいしか直接的なメリットはないのですが、この“オリパラのお墨付き”をきっかけに新たなビジネスを展開していくことはできます。実際にRIZAPは『RIZAPマイベストチャレンジ』というキャンペーンや、医大と組んで糖尿病の改善に向けた健康事業も行っています。認証された87事業のうち、2つの事業で認証を得ているのはRIZAPを含めた2社だけです」

 RIZAPが第1弾認証されたのは2019年2月28日。平田氏がゴルフに通い始めてから、10カ月後のことになる。オリパラ推進本部が発表する「認証要領」には、審査と認証を与えるのは、内閣官房オリパラ事務局長であると記されている。つまりは平田氏のことだ。平田氏とRIZAPは利害関係にあるのだ。