開会式直前の関係者“辞任ドミノ”に始まり、メダル候補のまさかの敗戦やダークホースによる下馬評を覆しての戴冠劇、コロナ禍で開催され、明暗含めて多くの話題を呼んだ東京オリンピック。ついにその長い戦いも閉幕しました。そこで、オリンピック期間中(7月23日~8月8日)の掲載記事の中から、文春オンラインで反響の大きかった記事を再公開します。(初公開日 2021年7月28日)。
* * *
東京五輪の金メダルラッシュが止まらない。
競技開始からわずか4日で獲得した金メダルの数は10個。26日には、今大会から採用になった卓球・混合ダブルス決勝で水谷隼(32)と伊藤美誠(20)が、強敵・中国を破り、見事金メダルを獲得した。五輪での金メダル獲得は日本卓球界初となる快挙であり、同種目の初代王者にも輝いた。
幼い頃から交流を深めてきた「美誠」と「隼」。地元は大盛り上がり
実は2人は同じ静岡県磐田市の出身だ。
出会いは、水谷の父・信雄さんと母・万記子さんが設立した「豊田町卓球スポーツ少年団」に、幼稚園児だった伊藤が通い始めた時にまでさかのぼる。すでに水谷はドイツに卓球留学していたが、帰国した時には顔を合わせ、家族ぐるみの付き合いを続けていた。
お互いに「美誠」「隼」と呼び合い、幼い頃から交流を深めてきた2人。そんな2人が見せた抜群の連係プレーに、地元の磐田市は大いに盛り上がっている。決勝戦も市役所では観戦会が行われ、草地博昭市長や職員らがエールを送った。
「磐田市のみなさんがとても喜んでいらっしゃって。感覚的には近所のお子さんが成長してこうなった、という感じなんですかね。本当にみなさんが『おめでとう』と声をかけてくれています。(水谷本人とは)メールで『おめでとう』というやり取りはしました」
こう語るのは水谷の母・万記子さんだ。決勝戦の日は、自宅で観戦したという。
「試合はハラハラドキドキという感じでした。息子が、というよりも美誠ちゃんと2人でとった金メダルという感じですね。だんだん2人の呼吸が合っていくのが分かり、もしかしたら行けるかもと思いました」