増田明美氏(57)の解説は、ながらくマラソン中継の名物だった。少なくとも陸上界においては。
増田氏は1984年のロサンゼルスオリンピック出場をはじめ、1980年代前半の日本女子マラソンの第一人者で、引退後は解説者に。レースの中継での解説が人気になり、近年はレース以上に「増田さんが解説で何を言ったか」が話題になることさえあった。
誰もしらない小ネタの宝庫
増田氏の解説の特徴は、大量に盛り込まれる選手の「小ネタ」だ。好きな食べ物や趣味はもちろん、誰も知らない意外なエピソードもたびたび登場する。野口みずき氏(43)が合宿中に2.7kgの肉を平らげたエピソードは、増田氏が解説で紹介して一躍有名になった。レース展開や走りの解説の合間に、そんな小ネタがこれでもかと盛り込まれる。
視聴者どころか、陸上を日常的に取材するジャーナリストや時には選手に近いスタッフさえ「どうやってそんな話を仕入れてくるのか」と驚くことがあるという。
増田氏は、先日閉幕した東京オリンピックでも女子マラソンの解説を担当した。日本代表・鈴木亜由子選手(29)の祖母が詠んだ短歌を紹介したりと持ち味全開。「細かすぎる解説」とSNSでも一気にトレンド入りした。
しかし「今回はやらかした」(スポーツ紙記者)という声も大きい。ポジティブな評価が圧倒的だったこれまでと違い、今回はネガティブな評価もかなり目につく。
陸上取材が長いスポーツ紙記者が説明する。
「問題になったのは、一山麻緒選手(24)についてのコメントです」