1ページ目から読む
2/2ページ目

女性歯科衛生士に対する男性患者からのセクハラ

 逆に、治療中なのに来なくなってしまう患者も困るという。

「とある芸能事務所と契約しているんですけど、新人タレントさんが所属すると、まずは歯をキレイにということでウチにきていただいて、歯列矯正やホワイトニング治療を始めるんです。それでも一気にはできないので、計画的に施術を進めていくんですけど、ある日突然来なくなってしまう。契約関係で揉めたとかなのかもしれませんが……。

 事務所の方にも事情を話していただけないんで、詳しくはわからないんですけど、治療も中途半端で終わってしまうので心配ですね」

ADVERTISEMENT

 審美歯科に関しては、患者は殆どが女性だというが、最近は男性も増えてきている。そして、歯科衛生士の9割以上が女性。そのためか、女性歯科衛生士に対して、男性患者からのセクハラのような事例もあるという。

「先生が奥歯の治療などをされる時、衛生士が指で口の周りを抑えて口腔を開いておくんですけど、この時に私の指を舐めてくる男性患者がいました。

 口の中に異物感があって、それを確認する意味で舌で舐めてしまう、ということはあるのかもしれませんが、意図的にペロペロ舐めつづけてくるんです。気持ち悪いですし、治療によっては危険なのでやめてほしいですね」

©iStock.com

「患者」ではなく「客」という意識

 男性患者の中には、衛生士との“密着”を求めてくる患者もいる。

「施術中に、どうしても胸や身体の一部が患者さんにあたってしまうことがあるんですよ。ただ、男性患者さんの中には、シートに深く座り直して、体や首を伸ばして、より触れるような体勢にしてくる方がいますね。患者さん側はバレないように何気なく動いているつもりだと思うんですが、不自然な動きなので、こちらには全部バレてます」

 体が触れたりしてなくても、男性患者が“反応”していることもあるという。

「エプロンをかけるんですが、股間のあたりが盛り上がっていて、いわゆる“テントを張った”ような状態になってる患者さんもいましたね……。これは生理現象でもあるので仕方ないですし、こちらも『テント張ってるな、何に興奮してるんだろう』と思うだけですけど」

 審美歯科とはいえ、医師や歯科衛生士が行うのはれっきとした医療行為。患者側も「患者」ではなく、「客」という意識を持ちすぎて過剰なサービスを受けようとするので、そこにズレが生じてしまうのかもしれない。