「パンとライス、国連事務総長はどっち?」
しみけん 盲点を突くという意味では、この問題も好きなんですよ。「パンとライス、国連事務総長はどっち?」
古川 いい問題ですよね。国務長官やってたから、ライスだろうって誘導されちゃう。
しみけん これ出すと、みんなライスって言っちゃうの。でも正解は潘基文(パン・ギムン)。誰が作ったんだろう、この問題。
古川 「タイムショック」の特番か何かで出たのを覚えていますけど、誰かはわからないな……。名作です。あと、僕は「うまい系問題」が作れたら気持ちがいいんですよ。これは高校生のときに作ったんですが「『トロイメライ』を作曲したのはシューマンですが」、ここで普通は「何々を作曲したのは誰でしょう?」と行きますよね。
しみけん パラレル問題ですね。
古川 そうです。ところが後ろの文を「トロイの遺跡を発見したのは誰でしょう」「シュリーマン」というものにした。
しみけん うまい! 韻も踏まれてる。
古川 いわゆる一問一答を中心とした早押し基準のクイズはスタンダードなんですが、当たり前のことを聞くクイズや、うまい系のクイズみたいな柔らかいクイズをもっと広めることで、クイズを楽しむ人が増えて欲しいなと思っています。
AV女優さんから教えてもらった言葉を掘り下げてみた
しみけん さっきの「気づき」もそうなんですが、僕は「こんなこと、こんなものに名前が付いてたんだ」って知ったときの驚きが好きなんです。この前、あるAV女優さんと話をしたんです。で、その子の顔立ちが日本人離れしていたので「ハーフ?」って聞いたら、「エイスです」って言うの。
古川 エイス?
しみけん そう、8分の1ってことですよね。ハーフ、クォーターまでは知ってたけど、エイスって言葉あるんだーって、もう興奮。調べてみたら、本当にあるんですよ、エイスって言葉が。しかも、その下もあって、ワンシックスティースっていう16分の1の人を言う言葉もあるって知った。その下はもうないみたいでしたけど。
古川 それは知りませんでした。しかし、知らない言葉にぶつかると、ちゃんと調べるんですね。
しみけん 調べます。変な言葉があると、語源が気になりますし、変わった苗字の人に会うと、やっぱり調べちゃいますね。
古川 やっぱり、しみけんさんには基礎トレーニングする癖が備わっているんですよね。
超速早押しのテク「音階・BPM・口の形を見破る」
しみけん 古川さんのクイズ力の基礎って、どういうトレーニングでつけたんですか?
古川 早押しマシーンとして狂ったように勝ち続けていた頃の話ですが、問題を読む人の「音階・BPM・口の形を見破る」という理論を立てて、どれだけ速く答えを確定させるかに磨きをかけていきました。
しみけん すごいテクニックだな。
古川 読み上げられる問題文を曲として聞くんです。そうすると、問題文がどれくらいの長さのものか推測することができるんです。まず息をどれくらい吸い込んでいるか見極めます。次に相対音感を持っているので、音の高低、ドの音で読んでいるか、レの音で読んでいるか判断します。そして口調がどれくらいの速度かBPMを測ります。息を大きく吸い込んで高音で早口なら、かなり長いセンテンスの問題だと判断できる。
しみけん ちょっと想像がつかない……。
古川 あとは日頃の暗記で、どういう答えが求められているか類推して、勝負に出る。僕、問題開始1秒で正解したときがあるんです。「果物の王様ど」まで読まれた1秒で、ボタンを押した。
しみけん ちょっと待ってください。「果物の王様ど」。では女王様は何? って問題かな。
古川 僕も最初そう思ったんですよ。「果物の王様といえばドリアンですが、果物の女王といえば何でしょう」「マンゴスチン」。でも「果物の王様ど」なんですよ。「と」じゃなくて、「ど」。
しみけん ちょっと待って、考える!
古川 もう、これ自体パズルの世界なんですよ。