新幹線運転中にまさかの腹痛! トイレ直行の運転士
2021年5月にも、思わず同情してしまうトラブルがあった。東海道新幹線の運転士が腹痛を覚え、運転席を離れてトイレに行ったというのだ。その間、運転資格のない車掌を呼び、時速150キロで走る新幹線の運転を任せていたという。
列車は東京発新大阪行きのひかり633号。乗客160人を乗せ、熱海~三島駅間を走行中だった。幸い、運行に支障は出なかった。JR東海の規定では、運転士が体調を崩した際には、運行を管理する指令所に連絡することになっており、運転資格のある車掌がいる場合は運転を交代できるそうだ。
時速150キロという猛スピードの運転を、無資格の車掌に任せていたと考えると恐ろしいことである。しかし、激しい腹痛は一刻を争う不測の事態だ。この一件に関しては「人間だもの」と肩を抱いて慰めたくもなるが、人命にかかわる話だけに再発防止に努めてほしい。
日本一の秘境駅を誤って通過、乗客2人は取り残される
やらかし事件のなかでも、思わず鉄道ファンの胸を熱くさせた出来事もある。
2016年1月、JR室蘭線の長万部発東室蘭行き普通列車が、途中駅の小幌に停車せず、通過してしまったというのだ。
小幌駅は、周囲に人家などがなく、四方を山と海に囲まれた知る人ぞ知る秘境駅だ。鉄道以外では到達できない駅として、秘境駅訪問家・牛山隆信氏による「秘境駅ランキング」では1位に君臨する。「やらかし事件簿の舞台に、あの小幌駅が名を連ねるとは…!」と、どこかそそられる鉄道ファンは筆者だけではないはずだ。
小幌駅を通過した際、乗車予定だった2人がホームに取り残された。この2人も住人ではなく、きっと鉄道ファンなのだろう。秘境駅に取り残され、さぞ心細かったに違いない。この約1時間後に特急「北斗」が臨時停車し、2人を乗せたようである。そのうちの1人が撮った動画を見ると、すでにあたりは暗く、雪がちらついていた。
停車予定の駅を通過してしまうのは、あってはならないトラブルだ。しかし、「小幌に北斗が停まる日が来るなんて…」と、違う意味で鉄道ファンが興味を寄せるトラブルだった。