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2017/11/07

夫がFXに手を出していた!?

古田 やはり突然旦那さんをなくされた女性からの相談で、生前に、「FX(外国為替証拠金取引)に興味があるんだよね」と口にしていたと。FXは少ない元手で大きく稼げる半面、元手を大きく越える負債を背負ってしまうリスクもあります。旦那さんがFXに手を出していたんじゃないかと奥さんは不安に苛まれたのですが、やはりこれもパスワードがわからずに苦労されていました。

 その一方で、デジタル遺品があまり重要視されない例もあります。高齢者の方がスマホなどのデジタル遺品を残して亡くなっても、伴侶の方は「よくわからないから捨てておいて」というそっけない対応だったりするんですよね。

──古田さんが理事を務めている、デジタル遺品研究会ルクシーという団体について教えて下さい。

古田 ルクシーはもともとはデータ復旧会社がサービスの一環として、開けなくなったスマホを開けるという実務的なサービスを提供していました。それが一般社団法人として再出発したのが昨年の8月です。

 現在はそういう事態に陥る前にユーザーレベルでやれることを一般の人たちに伝えていく活動をメインにしています。デジタル遺品にまつわる常識は日々更新されていきますから、最新の動向を常にキャッチし、今はこうやれば最善ですよという知見を、ホームページやセミナーを通じて伝えています。ただし今後は、ニーズが高まってきているので、実務を含む個別相談にも力を入れていきたいと考えています。

スマホをお焚き上げする悪徳業者

──最近はデジタル遺品を扱う業者も増えつつあるようですが。

古田 ここ1、2年で、デジタル遺品を気にする方が急激に増えていて、それを扱う業者も急増しています。しかし、なかには無駄に不安をあおる業者もいるのが現状です。

 そもそもデジタル遺品といっても、本来、普通の遺品と何ら変わらないのです。ただデジタルを使い慣れてない人からすると、よく分からない感じがするというだけのことなのです。デジタル遺品は決して正体不明の不気味なものではなく、実際にはただの遺品で、ちょっとデジタルのベールをかぶっているだけだから、どうか慌てないでください、ということは伝えたいですね。

──怪しいビジネスをしているところもあるわけですね。

古田 はい、なかには、スマホやパソコンをお焚き上げしちゃえば、個人情報は全部守られますとうたっている業者もいます。たとえスマホを燃やしてもハードディスクは復旧できる可能性はありますし、なによりクラウドの情報は残ったままになってしまいます。でも、お年寄りなどデジタルに詳しくない人は、専門家が言っているのだから、と安心してしまう。遺族の目の前でスマホやパソコンをお焚き上げして見せて「これで天に上りました」と言って納得させて、お金を取る業者もあるそうです。

デジタル遺品は21世紀の大問題 ©松本輝一/文藝春秋

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 次回からは、自分が亡くなった時に備えて手を打っておくべき対策、そして家族が亡くなって自分がデジタル遺品の処理を任された場合に行うべき対応について、古田さんに伺っていきます。

「デジタル遺品最前線」の続きはこちら!

♯2 家族や友人にどうしても知られたくない趣味があるときhttp://bunshun.jp/articles/-/4811
♯3 亡くなった家族が遺したパソコンやスマホ──まず何をするべきか?http://bunshun.jp/articles/-/4812