文春オンライン

《横浜市長選で与党惨敗》「総裁選に勝利して衆院解散に…」とにかく“タフ”な菅首相が“次に期待”し続ける理由

2021/08/24
note

《宣言延長を巡る8月16日の関係閣僚会合で、内閣官房は(1)現状維持(8月31日まで)(2)約3週間後(9月12日まで)(3)約4週間後(同月19日まで)――の3案を示した。最も長い(3)を主張した田村憲久厚生労働相に対し、首相と加藤勝信官房長官は迷わず(2)を指さしたという。》(8月18日)

(3)だと首相の解散権をさらに制約するからという理由。これでは宣言延長を自分の政治都合のために決めたと言われても仕方ない。

 ※もっとも、このあと横浜市長選の結果が出て『首相、10月前半の解散を模索』(読売)という先述の記事が出た。模索しまくりです。

ADVERTISEMENT

公私の「私」だけを感じてしまう

 よく「政局」の匂いがし始めたり選挙に関する報道が多くなってくると「政局よりも政策を伝えよ」という声が出る。私もその通りだと思う。でも一方でそこに政局があるなら「見る」ことも重要だ。政治は人間がおこなっているからです。

 なぜ緊急事態宣言が9月12日までなのか。科学的な意味で考えるとわからないが「菅首相の再選戦略」というフィルターを通すと見えてくる。何度も言うがそれは首相自身の都合だ。でもあえていうなら個人の思惑を公共の利益としてどう納得させるか、そこに政治家の器量があるとも言えまいか。

 しかし菅首相には「お主もワルよのう」と思わずニヤッとしてしまう、公共の利益に変換してしまうほどの説得力を感じたことがない。公私の「私」だけをいつも感じてしまう。

《首相周辺は「『12日』は悪手。世の中から感染抑止のためではなく、首相の都合のために設定したとみられる」。》(朝日新聞8月18日)

 この言葉そのものだろう。見え透いてしまっているのです。

安倍晋三 ©文藝春秋

 さて冒頭では《安倍晋三前首相や麻生太郎副総理兼財務相が「菅降ろし」に動くとの観測さえ出始めた。》という記事を紹介しましたが、現時点では「安倍、麻生両氏は首相支持の立場」(読売新聞8月23日)のようです。

 しかしこの記事のタイトルは『総裁選「岸田氏出馬」が焦点』。

 同日の産経新聞の一面には『岸田氏 総裁選出馬へ 首相との対決軸に』。

 横浜市長選が終わり、いろいろうごめいてきました。

「公共の利益に変換してしまうほどの説得力」を、どなたか主張できるのでしょうか。

《横浜市長選で与党惨敗》「総裁選に勝利して衆院解散に…」とにかく“タフ”な菅首相が“次に期待”し続ける理由

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー