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 ヒントになる対談があった。『(考論 長谷部×杉田+加藤陽子)コロナ対応・五輪強行 大戦時と重なる政府』(朝日新聞8月20日)である。

 ここで加藤陽子氏(東京大教授)は先の戦争で為政者に正確な情報が上がらなかったという例をもとに、

《おそらく今回の「コロナ敗戦」も、都合のいいことしか聞かなくなった為政者のもとに、叱られてもよいから本当に正確なデータを上げる人がいないということなのでしょう。》

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 と指摘。

楽観シナリオが首相に集まる理由

 そういえば以前に次の証言を読んだ。感染拡大する中で楽観シナリオが首相に集まる理由について、首相周辺は「首相がそういうデータを出せというから、そうなる」と語っていたのである(朝日新聞デジタル7月31日)。

「叱られてもよいから本当に正確なデータを上げる人がいない」のはなぜか。加藤氏の言葉をまた引用しよう。

《やはり人事権を握った、官房長官時代からの菅さんと、杉田和博官房副長官のふるまいが大きいと思います。彼らは説明「しない」ことによって、忖度(そんたく)させるという権力の磁場を新たに作った。》

 都合のいいデータだけを見てるから菅首相は何が起きても次に「期待」する。自分は「勝負師」と勘違いしてしまう。

このマズい状況を言いあらわす言葉は…

 これ、負けが込んでお金がないのに最終レースに根拠なく賭けてしまうギャンブラーの話ではなく、国民のリーダーの姿なのです。このマズい状況を言いあらわす言葉ってなんかあったな。そうだ国難でした。

 続いては「政局と政策」について考えてみます。緊急事態宣言が来月12日まで延長された。「9月12日」という日付の意味を、科学的な根拠で探すとよくわからなかった。しかし「政治面」に答えが書いてあった。

《「8月末まで」と、「9月半ばまで」、「9月下旬頃まで」の3案が出た。宣言期間中の衆院解散は世論の反発を招くおそれがあり、難しい。宣言期間が長引くほど、首相の解散権を事実上縛る。考えた末、首相は「やむを得ない。9月半ばまででいきましょう」と決断した。》(読売新聞8月18日)

 なんと菅首相の都合だったのである。毎日新聞はさらに具体的だ。