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政治理念を持っていたのは「希望の党」より「新しい地図」

おぐら タイミングと手法だけではなく、動画のメッセージも似てるんですよね。希望の党が掲げた理念が「さらば、しがらみ政治」で、新しい地図のほうは「逃げよう。」「自分を縛りつけるものから。」です。

速水 入れ替えても通用する。あー、しがらみとかあったよねって。

おぐら 人物の背中越しに後ろ姿を追いかけるカメラワークも相似しています。

速水 もうそっくりだよ。

おぐら 新しい地図の「自由と平和を愛し、武器は、アイデアと愛嬌。」というフレーズなんかは、まさしく新党のキャッチコピーっぽい。

速水 むしろ政治理念を持っていたのは、希望の党より新しい地図だったというわけだ。

小池百合子氏 ©文藝春秋

「逃げずに立ち向かうこと」が肯定された時代は90年代まで

おぐら 新しい地図の「逃げよう。」っていう姿勢と語りかける口調は、すごく今の時代に合ってると思います。「逃げるな」とか「立ち向かえ」でもなければ、「壊せ」とか「無視しろ」でもない。

速水 声高に革命を叫ばない感じ。

おぐら 90年代後半、たとえばドラマ『ショムニ』(1998)は権力や差別に対して真っ向勝負を挑んで勝つことが爽快だったし、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)では主人公が「逃げちゃダメだ」を繰り返し自分に言い聞かせてました。

速水 逃げずに立ち向かうことがよしとされていた時代。

おぐら でも2010年代になってからは、そんな無理して自分に合わない既存の枠組みに縛られてるよりは、新しい論理で動いてる別の場所を探したほうがよくない? 戦って疲弊するのもったいないよ。というモードになっています。

速水 テレビではなくAbemaTVを選んだのも、まさにそういうことだよね。一方、希望の党はタバコを吸ってるスーツのおじさんとかが出てきて「組織なめんなよ」と、にらみをきかせる中、緑のスーツを着た女性が歩いていくという。超わかりやすく敵を設定している。

おぐら 言わずもがなの文脈を共有できるコミュニティと違って、政治は全方位に届くようとことん丁寧な説明が求められるので、これくらい分かりやすくしないといけないのかなとも思いますけど。

速水 その緑のスーツの女性は小池百合子と似たような雰囲気なだけで実際は本人じゃないんだけど、普通に本人だと思ってる人もいるくらいだから。

おぐら ツーショットの写真撮影が3万円なので、動画だともっとお金かかっちゃいますしね。