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棚卸ししたデータはどう分ける?

──託すべきデータと隠したいデータを分けるとのことですが、例えばそれはフォルダ単位で分けるのか、それとも端末やメディア単位で分けるべきなんでしょうか。

古田 端末ごとに分けるのは現実的ではないですね。最近はスマホをメインに使う人が多いですが、仮に不倫相手のデータがあったとして、それだけをスマホから省いてパソコンだけに入れるのはちょっと難しい。しかも同じブラウザを使っていたら勝手に同期したりもする。物理的に完全な壁というのは作れないですよね。

 じゃあどうするかというと、恥ずかしいデータは極力目立たないように工夫するのが望ましい。パソコンは普通に使っていると、頻繁にアクセスする日々のファイルがアクセスしやすくなりますよね。これがオンのままだと「最近開いたファイル」から見つかったりするので、そうした機能はオフにする。自動バックアップや一時フォルダに入れるのもなるべく避ける。

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 ただ、どれだけ完璧を追求しても、ブラウザの履歴までいついかなるときも削除できるかというと、これはさすがに難しい。だから100%を求めるのは無理ですね。80%ぐらい大丈夫なように封印しようというのが一番いいんじゃないかなと思います。

 そもそも、ずぼらな人に几帳面なやり方を伝えたところで、たぶん3日も持たないんですよね(笑)。要は習慣化できることが大事です。普段の使い方からなるべく変えずに済む範囲で交通整理しておく。そんな感覚で心がけるべきでしょう。

IDやパスワードはアナログに「紙に書いておく」

──もう一方の、託すべきものについてはいかがですか。

古田 スマホやパソコンのパスワード、ネット口座といったお金関係のIDやパスワードは、紙に書くか印刷するかして、そのメモを預金通帳や実印などと一緒に保管しておけばいいと思うんですよ。それらは万が一のときたいてい遺族が気づいてくれるじゃないですか。アナログで原始的なやり方ですが、これが確実だと思います。

 そうそう、そうしたメモに日付を書いておくのは重要です。というのも、デジタルのデータは、1年以上も前のものはあまり使い道がなかったりするんですよね。例えば、数年間触っていないSNSのIDをもらってもどうしようもない(笑)。だから自分の誕生日とかお盆休みとか、決まったタイミングにそれらを更新する習慣をつけておくのが一番確実に伝える方法ですね。

「下着001」ではなく「S001」というフォルダ名にする

──それ以外に、家族が自分のパソコンの中を見ることを想定して、事前に手を打っておくべき対策は何かありますか。

古田 あえていえばですけど、サムネイルを表示させないようにしたり、ファイル名がそれとわからなくするのは、単純ながら有効な対策ですね。例えば趣味の画像を集めた「下着001」というフォルダがあったとしましょう(笑)。それを自分だけがわかる名前、例えば「S001」にする。それでいいと思うんですよ。几帳面な人ほど、具体的なカテゴリー名をつけていて、その人の脳内、思考が丸分かりだったりしますから(笑)。

 さらに上のレベルを目指すのなら、どのフォルダにデータを入れたら自動的に同期したり、一時ファイルが生成されたりするというのをきちんと把握したうえで、できないように切り分ける。そのうえで、アカウント自体の情報を入れたパソコンやスマホをハードウェア暗号化して、そのパスワードを絶対に外部に漏らさない。脳内だけで記憶しておくとなれば、まずは大丈夫ですね。