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栗山巧が放った2000本以上の安打から選び抜いた“最高の1本”はこれだ

文春野球コラム ペナントレース2021

 世が世なら、今年の埼玉西武ライオンズはパレードをしています。所沢駅をスタートして、西武所沢S.C.を眺めつつ西所沢を目指し、さらに西進して多摩湖に到達するというロングパレードを。「2018年の優勝パレードの3倍くらいやる感じのルートですね……」というご指摘もあるかもしれませんが、優勝に勝るとも劣らない祝賀感があります。球団の成績も、親会社の経営状況もズタボロという今季ではありますが、それすら吹き飛ばすくらいの喜びが栗山巧さんの通算2000本安打達成にはありました。

通算2000本安打を達成した栗山巧

栗山巧の「2000本」にライオンズは狂喜乱舞

 おかげさまで西武球団も大盛り上がりで、「今年はCS進出グッズも優勝グッズも日本一グッズも作る必要ないな、ヨシ!」という全振り態勢で栗山2000本グッズを制作中。まずは「職人が手作業で栗山選手の顔を肌の質感まで精巧に再現した」という「可動式フィギュア」。そして、「銅像は原型師が写真を見ながら手作業で原型を作るというものが一般的ですが、この銅像は最新のデジタル技術を活用し、本人そのものの3Dデータから製作する為、再現度が桁違いです!」とフィギュアのほうの原型師に若干失礼なくらい再現度で盛り上がっている「銅像(税込990万円)」。ついにはグループの総力をあげて「家(税込2695万円)」までグッズとして用意してきました。

「家」については、ファンクラブプラチナステージ会員であればグッズ購入時に約189万ポイントが還元されるべきところをポイントの付与はナシとされている点が購入検討にあたっては若干残念なところではありますが、まさにグループあげての「狂喜乱舞」といった様相です。球団外でも、西武鉄道所沢駅ではお祝いのくす玉が割られ、懇意にしている西武所沢S.C.さんでは「2000本安打達成記念おめでとうセール」を開催するなど、喜びが所沢全域に広がっています。おそらくシーズン終了後には改めて西武・そごう各店で「2000安打達成本当におめでとう」セールを開催することになるでしょう。5位か6位でやる「ご声援感謝セール」より、そっちのほうが景気よさそうですからね。

売る方も買う方も冗談でやっているわけではない「家」の模型

「ここからここまで栗山」と縦に伸びる喜び

 野茂英雄さんがプレゼンターとして来場し、名球会入りの証であるブレザーに栗山さんが袖を通した授与式の光景。ライオンズからも名球会入りができる、名球会入りするほどの選手がライオンズを終の棲家として選ぶ、当たり前のようで決して当たり前ではなかった光景がやっと戻ってきたのだと、しみじみと感激しました。

 この節目のタイミングを、共に過ごしてきたメットライフドームでお祝いできること、振り返る過去の思い出をすべて自分たちのものとして反芻できること、この先もこの偉大な選手のプレーを見守ることができること、そのすべてに対してありがたい気持ちでいっぱいになります。

「優勝」は特定年度で横に広がる喜びですが、この「2000本」は栗山さんの入団から始まり、現在、未来へと縦に伸びる喜びです。途中には若干の暗黒期もあった気がしますが、「ここからここまで栗山時代」と年表に線を引けば、すべてが栗色の思い出になります。「僕は栗山巧の現役時代を見たんだ」と年表に引いた線をなぞれば、「いい時代だったな」と思えるくらいには幸せです。栗山巧名場面の全部がその線の上にある。その年数分の感慨は、パレード相当であるというのは冗談でも大袈裟でもなく、本心からの感覚です。残念ながらパレード開催は世情的にも難しいでしょうが、本当に満足できるシーズンとなりました。2021年も埼玉西武ライオンズと栗山巧さんに熱いご声援、ありがとうございました!