周辺施設のデザインも“スゴい”佇まい
2000年に完成したハイタウン北方はその後、道路を挟んで北側にも高層集合住宅が2棟建設されている。全体計画と調整を磯崎新の事務所、磯崎新アトリエと地元の設計事務所が担当し、各住戸の設計を21組の建築家やアーティスト等がおこなった。
同じ敷地内には磯崎新アトリエが設計した、最大500人を収容するホールがある「生涯学習センターきらり」が建つ。亀の甲羅のような、頑丈そうなドーム型でありながら、柔らかそうにうねった複雑な動きのある、なんとも奇妙な形状の屋根に目を奪われる。
さらに同じ並びには、2016年に老朽化のため移転してきた、北方町新庁舎が建つ。ここもまた別の建築家によって設計されたおしゃれな佇まいで、周りの景観に馴染んでいる。
ハイタウン北方は、建設から20年以上経っているにも関わらず、未だに目新しさがあり、陳腐化を感じさせない建物だ。しかもそれが県営団地という点も、ほかになく珍しい。新しい設計と技術は建築関係者らを驚かせ、斬新な建物は当初から多くの視線を集めている。まさにコンセプト通り、街のシンボルとなったのだ。
しかしハイタウン北方に限らないことだが、全国の団地の多くは住民の高齢化や空室率の上昇に悩まされている。
団地は2000年代になると、建物の老朽化、時代に合わない間取り、手狭などの理由で古いものは年々取り壊されてきた。
そこで近年は、若い人にも利用してもらうことを目的に、団地リノベーションが流行している。
素材感や風合いなど古いものの良さはそのまま活かされ、老朽化した設備等を改修。おしゃれなブランドと提携して、モダンな内装に生まれ変わることで、改めて団地の魅力が注目されている。人々のライフスタイルと、時代の潮流に合わせて変化してきた団地の文化に、また新しい波が来ているようだ。
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