トウモロコシのよう…それでいてモダンな外観
次に、クリスティン・ホーリィの設計であるS-2棟。
コンクリートむき出しのモダンな外観は一見すると無骨な雰囲気だが、壁面には凹凸や曲線、くり抜きや色も添えられ、やわらかい印象を感じる。南側に回ると敷地に沿って大きくカーブしたところから、四角い部屋が突き出している。そのさまはまるでトウモロコシのような、変わったデザインに驚く。
住戸のほとんどはメゾネットタイプであり、キッチンとリビングダイニングのある家族で過ごす部屋と、個々人の部屋が分かれている作りだ。また、最上階の部屋には屋上テラスがついているのも特徴である。
デザイン性と機能性の両立
次にエリザベス・ディラーの設計であるS-3棟。
のこぎりの歯のようにギザギザに、また下に向かって広がっているように見え、まるで風になびくカーテンのような不思議な見た目が変わっている。北側の玄関アプローチは集合住宅ながらそれぞれ独立し、南側も同じようにズレることでバルコニーから隣の住居が見えない工夫になっている。
内装はここも可動式の間仕切りを採用し、自由に間取りを変えることができることで、人気の物件なのだそう。
実用的なのかと首を傾げたくなる空間も…
次に妹島和世の設計であるS-4棟。
北側は白くシンプルな壁面に暗色の階段が貼り付き、折れ線グラフのようなインパクトのある外観だ。さらにはところどころ大きく穴が空き、反対側の景色が見えている。ここは、30パターンもある様々な間取りの住戸を、テトリスのように組み合わせて作られている。南側にはバルコニーがないが、代わりに開けられた空洞がテラスになっており、洗濯物を干したり物置にしたりと、自由な使い方ができるようだ。
4棟が囲む中庭の設計は、マーサ・シュワルツという景観デザインの建築家によるもの。中庭には、アーティストである福澤エミ設計のガラス張りの集会所のほか、いくつかのオブジェやアート作品のような広場が並んでいる。広場の中には、危険なため立入禁止の場所もあり、果たしてこの中庭は実用的なのかと首を傾げたくなる空間だ。