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『科捜研の女』が大きな転機に 沢口靖子(56)が駆け出し時代に抱えていた“苦悩”「容姿といった表面的なことだけでしか…」

2021/09/10
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『科捜研の女』がなぜこれほどまでに長く続いているのかについては、これまでにもいくつか考察がある。いまから3年前の『週刊文春』の記事では、《理由の一つは、沢口さんの衰えない美貌だという声があります》とのテレビ朝日関係者のコメントが紹介されている。同じ記事には、彼女の美貌の秘訣として「朝も暗いうちに起き、自分で野菜中心の朝食をつくり、ストレッチとウォーキングをしてから現場に入る。撮影中もカロリーの高い物や味の濃いお弁当は食べない」といったことをあげた現場スタッフの証言も出てくる(※5)。

「存在感のある息の長い女優さんになりたい」

 おそらく視聴者の多くも、単に沢口の美貌に見とれるだけでなく、それを維持するために彼女が日頃より続けているであろう努力を感じ取っているはずである。それは、本人が語っていたようにデビュー当初、「容姿といった表面的なことだけでしか役を任せてもらえなかった」のとはまったく違う。ようするに内面的な部分をも含めて沢口はその魅力にますます磨きをかけていることを意味する。それは彼女自身がずっと目指していたものであっただろう。その証拠に、20年前には、次のように将来への抱負を語っていた。

《私としては、やっぱり存在感のある息の長い女優さんになりたいと思います。外国の女優さんなんかは、その時々の年齢のすてきさを見せてくれるでしょ。しわ一本に説得力があったりするじゃないですか。私も、ルックスだけでは出せない、その人が重ねた人生みたいなものを出していけるようになりたい。そのためには、つねに感性を磨いておかなければ。内面から出るものを要求されたときに、ちゃんとこたえられる自分でいたい。見た目だけじゃなく、「やっぱり沢口じゃなければ、この役はやれない」と言われるのが理想ですね》(※6)

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「やっぱり沢口じゃなければ、この役はやれない」――榊マリコは彼女にとってまさにそうした役になっている。

※1 『科捜研の女 -劇場版-』パンフレット(東映事業推進部、2021年)
※2 『月刊デジタルTVガイド』2021年10月号
※3 『ぴあMOOK 科捜研の女 コンプリートBOOK』(ぴあ、2019年)
※4 『婦人公論』2011年2月7日号
※5 『週刊文春』2018年2月1日号
※6 『月刊アサヒグラフ person』2001年10月号

『科捜研の女』が大きな転機に 沢口靖子(56)が駆け出し時代に抱えていた“苦悩”「容姿といった表面的なことだけでしか…」

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