昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「森友問題を蒸し返すな」総裁選に“安倍の黒い影”が…「異端児」河野太郎が“安倍後継の本命”だと思うワケ

2021/09/14

 総裁選とは自民党のPRイベントであり「興行」だと思って見たほうがわかりやすい。候補者たちは各テレビ局をまわり、これ以上ない宣伝機会となる。前任者の人気が無くても雰囲気を変えることができる。

 以前にそう書きましたが、連日の報道は見事に「興行主」の思惑通りの展開となっています。候補者や政策が出そろう前に「次の首相にふさわしい人」という人気投票を新聞が大々的に発表するのも自民党総裁選を盛り上げています。

自民党総裁選への出馬を表明した岸田文雄、高市早苗、河野太郎 ©文藝春秋

 しかし、菅首相とそれを支えた自民党政治のことはもう忘れてしまってもよいのでしょうか。総裁選のどさくさで、支持・不支持どちらの人もこの1年間の政治に対して直接的に評価する機会を奪われてしまったのです。さらに言えば菅政権が終わることは「安倍政権」にも本当の区切りがつくことでもある。約9年間の安倍・菅政治を検証しないのでしょうか。まだ説明されないことが多すぎるのに。

 しかし総裁選モードになったらこんな展開に。

『強まる安倍氏の影 各氏 積極的に働きかけ』(毎日新聞9月10日)。

 蓋を開けてみたら、候補者はみんな安倍氏のほうを見ていた。9年間の検証どころではなかったのです。

 高市早苗氏はそもそも安倍氏の後継を訴えていますが、岸田文雄氏も河野太郎氏も安倍氏へのアピールが目立つ。

森友学園問題を「蒸し返すな」

『岸田氏 安倍氏に配慮』という記事もあった(読売新聞9月9日)。岸田氏は9月2日にBS-TBSの報道番組に出演し、森友学園問題を巡る財務省の決裁文書改ざん問題について「さらなる説明」が必要との考えを示したが、その5日後に「再調査は考えていない」と“言いなおした”のだ。その理由とは、

《安倍氏周辺が「話を蒸し返すな」と反発した影響と見る向きもある。》(同)

 河野氏も「再調査は考えていない」と明言した。

 不正を強いられたとして自殺した近畿財務局の元職員赤木俊夫さんが一連の過程をまとめた「赤木ファイル」が開示された。《国民に対する組織的な背信行為の詳細が記されていた。このような役所に自浄能力は期待できまい。第三者による再調査、再検証が不可欠である。》(西日本新聞社説6月24日)

 しかし岸田&河野両氏は安倍氏に気遣いを見せている。かつて安倍氏は「日本を取り戻す」と言ったが今回の総裁選は「安倍を取り戻す」選挙のようにみえる。

 それなら安倍後継にふさわしいのは誰か? この視点でみていきたい。注目は河野太郎氏です。