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 それでも「平時の岸田」という印象は強く、コロナ禍のような国難や有事には向かないという評価から、まだ抜け切れていません。逆に言えば、安心感と安定感なら岸田さんが一番だと、国会議員は口を揃えます。

 決選投票に持ち込めれば、「石破と組んだ河野に投票できるか」という空気が強くなって、党内に敵のいない岸田さんに勝機が出てきます。

高市早苗・前総務相 ★4.7点「初めてあった日の鮮烈な印象」

高市早苗・前総務相(60・無派閥・当選8回)は★4.7点 ©JMPA

 私が松下政経塾で出前授業の講師をしていたとき、高市さんは塾生でした。当時の中曽根首相の評価を尋ねたら、「やっていることは間違いないと思いますけど、人間的に好きになれません」と答えるのを聞いて、はっきりした物言いをする女性だと思ったのを覚えています。

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 保守派の人たちから見れば、“期待”していた稲田朋美さんが「LGBT理解増進法案」をとりまとめるなどリベラル的な活動をとるようになり、いわば「よくわからない立ち位置」になったものだから、相対的に高市さんに期待が集まっていました。そんな中、高市さんは8月発売の『文藝春秋』誌上で、今回の総裁選に真っ先に立候補を宣言したのです。

 世間には唐突な印象があったかもしれませんが、彼女には前々から野心があることを私は知っていました。

 河野太郎さんは多数派を形成しようとしているため、持ち前の歯切れのよさが時々引っ込んでいます。しかし高市さんにはそういうことがなく、主義主張がブレません。度胸と胆力をもつ女性です。今回、一番高く評価したいのは高市さんです。

野田聖子・幹事長代行 ★4.5点「高市さんへの強いライバル意識」

野田聖子・幹事長代行(61・無派閥・当選9回)は★4.5点 ©文藝春秋

 野田聖子さんは、小池百合子さんよりも前から、初の女性総理の候補として名前が挙がっており、出馬への意欲を総裁選のたびに示していました。今回「4度目の正直」でようやく20人の推薦人を集めて出馬しました。やっと出馬にこぎつけたとあって、たまっていた政策をどーっとはきだしている感じです。

 閣僚の半数を女性にする構想など、女性活躍という視点に立って発信をしています。政策についても、女性の地位向上や子育て支援などの弱者対策にウエイトを置いて、一定の支持を集めています。多様性を強調し、ほかの3人と政策の差別化を図っているところが評価できます。

 同じ女性候補でも、高市さんは“女の視点”でモノを見ることを嫌いますから、対照的です。高市さんはさほど意識していないかもしれませんが、野田さんには高市さんに対して強いライバル意識があるでしょう。高市さんが先に手を挙げたことで、後れを取ってはいけないという思いも働いたと思います。

出そろった4人の総裁候補…その背後にうごめく「思惑」

 今回、ほとんどの派閥で “支持候補の一本化”が進まず、事実上の自主投票となっています。派閥のトップにいる長老たちは、いま何を考えているのでしょうか。