8月31日、大阪府摂津市の築34年の古ぼけたマンションの一室で、この家に住むまだ3歳の男の子、新村桜利斗(おりと)ちゃんが、母親の交際相手の男に長時間熱湯を浴びせられた末に、病院に搬送され、息を引き取った。桜利斗ちゃんの死因は熱傷性ショックで、搬送時は皮膚がただれ、目も当てられない状態だったという。

事件現場となった摂津市のマンション ©文藝春秋

 大阪府警は9月22日夜、桜利斗ちゃん殺害の容疑で、母親(23)の交際相手である松原拓海容疑者(23)を逮捕した。全国紙社会部記者が語る。

「松原容疑者は取り調べに対して、『自宅の浴槽でシャワーの温度を徐々に上げていく“遊び”をしていた。たばこを吸いに行って目を離した隙に、桜利斗ちゃんが亡くなった。温度は60度まで上げたが、わざとやったわけではない』などと供述しています。しかし、司法解剖の結果、桜利斗ちゃんは10分近くもの間、熱湯を浴びていた可能性があることがわかったのです。しかも、桜利斗ちゃんの遺体には、熱湯をよけようとした形跡もなかった。たばこを吸いに目を離した隙に起きる出来事では到底ありえず、警察は、松原容疑者が桜利斗ちゃんの全身に執拗に湯をかけ続けて死亡させた、強い殺意があったとみて捜査を続けています」

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松原拓海容疑者 NHK WEB NEWSより

痛みから出ざるをえないような大きな「叫び声」が聞こえた…

 事件発生時、同居する母親は不在だった。松原容疑者は「3歳の男の子が浴室内で倒れていて、意識も呼吸もないと、自分で119番通報した」(消防関係者)という。通報から10分弱で救急隊員が現場に駆け付けたが、桜利斗ちゃんはリビングに全裸で横たわっており、既に心肺停止状態だったという。その後、搬送先の大阪府吹田市内の病院で死亡が確認された。

 搬送の様子を見ていた近隣住民が語る。

「救急車が来る30分前ぐらいに『ぎゃあーっ』という声が2回ぐらい聞こえました。それまでも母親が叱るような声は聞いたことがありましたが、あの時の声はそれとは全然違った。驚いたとか怒られた時のような声ではなくて、痛みから出ざるをえないような、大きな“叫び声”だったんです。

新村桜利斗ちゃん

 何が起きたのか不思議に思っていたら、救急隊員が来て、家から桜利斗ちゃんを運び出していったんです。全身が真っ赤に腫れあがり、小さな体なのに心臓マッサージをされていて、可哀そうで見てられませんでした。ところが救急隊員の横にいた松原容疑者は妙に落ち着いた様子でした。それが印象的でした。松原容疑者は、桜利斗ちゃんが搬送された後、警察に部屋で話を聞かれていました。