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カルト村に自ら入村した父は、「禁酒」の決まりができて以降、大好きなお酒を一切口にしなかった…そんな父を見て気づいた“本当の自由”

『カルト村の子守唄』作者・高田かやさんインタビュー#2

source : ライフスタイル出版

genre : ライフ, ライフスタイル, 娯楽, 読書

note

高田 こんなに面白い番組があるのかと放映日を楽しみにしていた『風雲!たけし城』や『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』が見られなくなって、みんながっかりしていましたね。禁止事項がどんどん増えてくると、没収される本をみんなで協力して隠したりと、面と向かって世話係さんに反発する子もでてきました。でも、別の村に移動させられたり、個別に呼び出され叩かれて血を流している子たちの様子を見るうちに、だんだん静かになっていきました。

より組織的な村作りの体制になって、村が大きく再編

 ちょうどその頃、村の方針が変わって、各地にある個々の村のやり方で進めるのではなく、中央からの指示が全体に伝わって、それに従う……というやり方になったんです。より組織的な村作りの体制になって、村が大きく再編されたみたいなんですよね。その一環で本部から世話係さんがやってきて、村人も大勢移動し、親の移動に伴って子供たちも親の近くの学育へと移っていったという……。

 テレビの禁止も労働も子供たちの移動も、全て村の方針に沿って新しい世話係さんが指示していたのであって、その人個人が決めたことではなかったのですが、幼かった私からすると新しい世話係さんが来たあたりから色々な変化が起きたので、「諸悪の根源はこの人!」みたいに思っていました。

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厳しい労働や体罰

――漫画やゲームも取り上げられ、離れて暮らす両親に会える頻度も急激に減らされてしまい、村の改革が一気に進みます。生まれたときから不自由だったら「そういうものだ」と受け入れられるかもしれませんが、最初は許されていたものが急に禁止になり、厳しい労働や体罰も始まって、「村から出たい」と言い出す子供も多かったのでは……? 

高田 当時6歳くらいでしたが、私も周りの子も含めそもそもほぼ全員村生まれで自分たちのいる村が「入る」「出る」類のものだと知りませんし、まだ村と一般の違いもほとんど理解していないため、そういった話になることはなかったですね。

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