親と子が離され、ビンタ、正座、食事抜きなど体罰は当たり前、男子は丸刈りで女子はショートカット、お小遣いはもらえず、すべての物が共有で、テレビや漫画を自由に見ることもできない……。そんな「カルト村」で生まれ、自身の小学生時代を描いた実録コミックエッセイ『カルト村で生まれました。』でデビューした高田かやさん。2冊目の『さよなら、カルト村。思春期から村を出るまで』では13歳から自らの意志で村を出た19歳までを描き、3冊目の『お金さま、いらっしゃい!』では、村を出た後に出会った「ふさおさん」と結婚したり、仕事を見つけて働いたり……といった一般社会での日々を「お金が持てなかった村出身者」の視点で描き、話題となりました。
そして今回、自身の幼少期の思い出と、「普通の大学生だった両親が、なぜ村に入って結婚したのか?」を著者自らが探って描いた「特別編」を収録した「カルト村シリーズ」の4冊目『カルト村の子守唄』を描き上げた高田かやさんのインタビューと漫画をお届けします!(全3回の3回目。1回目、2回目を読む)(マンガ#3を読む)
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コロナ禍で家にずっといる生活
――高田さんと旦那さんのふさおさんは旅行と食べることが大好きで、『うまうまニッポン! 食いだおれ二人旅』という漫画も出されていますが、コロナ禍で旅行に行きにくい状況が続いています。最近は旅行への欲求をどのようにして発散させているのでしょうか?
高田 コロナ禍になってみて気がついたのですが、私はもともとインドア派で人付き合いをしないので、家にずっといる生活はとても合っていました。旅行に行けなくても全く困らず、生活リズムが崩れないため、むしろ快適でしたね。
ただ、ふさおさんは違いました。旅行の予定を立てては緊急事態宣言で潰され、出掛けようにもお店は休業中だし、ひどく混乱していました。
休みは映画のDVDを一緒に観たり…
私は小さい頃から「ほらあそこの村の……」と知らない人から不審感や嫌悪感を持って見られたり、避けられたりすることが普通にあったので、「人間とはそういうものだ」と思ってきましたが、東京生まれのふさおさんは「東京の人」ということで歓迎されることはあっても、怖がられたり、「東京から出て来ないでくれ」とあからさまに差別されることは初めてだったようで、にわかには受け入れられなかったようです。
それでも家でできることをしようと、休みのたび映画のDVDをたくさん借りてきて一緒に観たり、いろんなお店のテイクアウトを試したりと楽しく過ごしていました。