親と子が離され、ビンタ、正座、食事抜きなど体罰は当たり前、男子は丸刈りで女子はショートカット、お小遣いはもらえず、すべての物が共有で、テレビや漫画を自由に見ることもできない……。そんな「カルト村」で生まれ、自身の小学生時代を描いた実録コミックエッセイ『カルト村で生まれました。』でデビューした高田かやさん。2冊目の『さよなら、カルト村。思春期から村を出るまで』では13歳から自らの意志で村を出た19歳までを描き、3冊目の『お金さま、いらっしゃい!』では、村を出た後に出会った「ふさおさん」と結婚したり、仕事を見つけて働いたり……といった一般社会での日々を「お金が持てなかった村出身者」の視点で描き、話題となりました。
そして今回、自身の幼少期の思い出と、「普通の大学生だった両親が、なぜ村に入って結婚したのか?」を著者自らが探って描いた「特別編」を収録した「カルト村シリーズ」の4冊目『カルト村の子守唄』を描き上げた高田かやさんのインタビューと漫画をお届けします!(全3回の1回目。2回目、3回目を読む)(マンガを最初から読む)
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幼少期の出来事を描いて、コミケに出してみたかった
――新作の『カルト村の子守唄』は、「村で過ごした幼少期のことを描けていないのが心残りだった」ということで、描かれたそうですね。
高田 はい。ただ、幼少期のことだけで1冊にするのは分量的に難しいかなと思ったので、最初は「趣味として描いて、薄めの本を自費出版してコミケで売ってみようかな?」と思っていたんです。
村では「個人の趣味なんてもってのほか」でしたし、村人たちを見ていると、「何かにハマることで見えなくなるものがあるのではないか?」と思ってしまい、長年「趣味」を持たずに暮らしてきました。そして2016年に『カルト村で生まれました。』でデビューしてからは、ずっと「仕事」としてコミックエッセイを描いてきたので、「趣味として幼少期の出来事を描いて、趣味人の集まるコミケに出してみたいな」と。しかもコミケで売っているのは薄い本だと聞いていたので、ぴったりじゃないかと思ったんです。
その話を担当者さんに相談したら、「コミケで手売りするんですか? 顔バレしますよ」と言われたので、「お面を被って売ります」と答えたら、「いや、そんなこと言わずに、うちから出させてください」と言っていただいて(笑)。