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 村には、若い女性が「調整役」の決めた10歳以上年上のおじさんと結婚する「調整結婚」という制度があったのですが、うちは母が姉さん女房なので、「調整結婚ではなく普通に恋愛結婚だったんだろう」と思ってきましたが、まさかあんなドラマがあったとは思いませんでした……。

 両親には、まだこの漫画は見せていません。「本ができたら送ってね」と楽しみにしてくれています。

車に乗せてくれたおじさん

――本作に載っている、まだ幼い高田さんが村を脱走して、知らないおじさんの車に乗ってしまうお話を読んでヒヤヒヤしました。今、当時のことを思い返してみて、恐怖を感じたりはしますか?

高田 思い返しても恐怖は感じないですね……。おじさんに自分の名前をうまく言えなくてもどかしくて、「おじさんが私の伝える道順通りに進んでくれなくなったのは、私が名前をきちんと言えなかったから気を悪くしたんじゃないか?」と思ったり、大きな道を外れて細い道にガタガタと入っていった時はさすがに緊張しましたが、頭の中で「ここを曲がって細い道に入った、その先に停まった、覚えておけば逃げられる」とシミュレーションしていたので、そんなに怖くなかったです。今思い返しても怖いのは「車に乗せてくれたおじさん」ではなく、行く先に立ちはだかった「お墓のある暗い道」の方ですね(笑)。

おばあちゃんになる前に

カルト村で生まれました。

――『カルト村の子守唄』には、幼少期に読んで印象的だった絵本のお話も出てきます。高田さんはもともとは童話作家になりたかったと『カルト村で生まれました。』で書かれていましたが、童話や絵本に挑戦してみたいという気持ちは?

高田 絵本も童話も今でも大好きです! 上野にある「国際子ども図書館」へ行くと、膨大な量の童話や絵本があり、そのひとつひとつが素晴らしい本なので、「伝えたいことなど全くない自分が、ただ描きたいからと描く絵本に一体何の意味があるのか……」と自問自答してしまいます。

 村にいた頃、父に「絵の学校へ行きたい、童話作家になりたい」と言ったとき、「創作なんておばあちゃんになった時でもできることだよね? 若いうちは今できることをやった方がいいんじゃないかな」と言われたことがあります。でも、これまで作品を描いてきて、「体力的にも視力的にも、おばあちゃんになったらこういう作業は無理!」とハッキリ確信をもって言えるので、おばあちゃんになる前に教室などに通って絵本の作り方を教わって、できた作品を教室の友達と一緒にいつかコミケで並べてみたいですね。

カルト村の子守唄

高田 かや

文藝春秋

2021年11月5日 発売

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