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ユンボの操作を誤って、隣のビルの壁を破壊

 前出の解体業者の坂本さんが、自身が遭遇した中でも印象深い事故を語る。

「3階建てのビルを解体する現場でのことでした。その現場は昼間の作業を禁止されていたので、夜間に周囲の状況をあまり把握できないままユンボ(油圧ショベル)を使って解体作業を進めていたんです。すると、ドカーンとすごい音が響いたんですよ」

 坂本さんが現場に駆けつけると、ユンボを操作していた作業員が解体しなければならないビルを間違え、隣のビルの壁にハサミ状のアームを深々と突き刺していたというのだ。

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「そのビルには残業中の従業員が何人か残っていたので、『ギャーッ!!』とものすごい悲鳴が聞こえました。ユンボの作業員はペコっと頭を下げて『あ、すみませーん』と軽い調子で謝っていましたが、謝って済む事故じゃない」

作業員が誤って鉄筋の配筋材を落下させる

 ビルの建設現場で起きる事故もかなりヤバいという。鉄骨とび職人(ビルやマンションなどの大型建築現場で建物の基礎となる鉄骨組みを専門に行う)の市川達夫さん(仮名、44歳)は、ビル建設現場であわや大惨事という事故に遭遇したことがある。

「建設現場で鉄筋を組立てていく作業を配筋というんですが、クレーン車を使って資材を下に降ろしていたとき、操作していた作業員がミスって鉄筋の配筋材を落下させてしまったんです。

©iStock.com

 僕は地下にいたんですが、ドーンって音が響くとともに『落ちた、落ちた!』と騒ぐ声が聞こえてきた。それで上に行くと、職人のひとりが血まみれで床の養生材の上に倒れている」

 幸い配筋材がかすっただけで大きな怪我ではなかったが、頭から血を流しているので救急車を呼ぶことになったのだという。

実際の現場は「クソ現場祭り」以上にヤバい

「すると、その職人が自分の血をインク代わりにして、養生材に数字を書き始めたんです。ドラマやミステリー映画で犯人に殺された被害者が死に際に残すダイイングメッセージみたいに、自分の家族が待つ自宅の電話番号を……。

 お前の家の番号は知っているから書かなくて大丈夫って言ったんですが、指をプルプル震わせながら必死に書き続ける。怪我をしてかわいそうなんですが、『完全にドラマの見すぎだな』と思いました」

 変なものが地中から出てきたり、あわや大惨事が起きたり、やはり実際の現場は「クソ現場祭り」以上にヤバいようだ。現場のみなさんはくれぐれも事故には注意してもらいたいものである。