「建設現場では毎日数百人が働いています。現場がストップすると、数千万円から億単位の損害が出る。だから、基礎工事中に地中から土器などの遺跡が出てきても、義務づけられている自治体への報告を無視して工事を続ける業者も多いんです。
しかし、旧日本軍の秘密作戦室ともなると、さすがに当局に報告しないわけにはいきません。案の定、現場が1週間以上もストップし、大損害が出たと聞いています」
山を掘ったら「コンクリート詰めのドラム缶」が
ヤバいものが出てきた現場はまだほかにもある。解体業者の坂本達彦さん(仮名、37歳)がとある地方の古い建物を解体していると、その建物から「火縄銃が出てきた」のだという。
「大正時代か明治時代に建立された由緒ある建物だったんですが、僕ら解体業者にそんなことは関係ないので、ハンマーなどでガンガン壊していたんですよ。すると、いつの時代のものなのかわかりませんが、錆びついた火縄銃が出てきた。
解体現場では地面から上のものは持ち帰っていいことになっているので、大切に自宅に保管しています。でも、あとから聞くと、火縄銃は銃刀法の規制対象になっていて、登録する必要があるらしい。どうしたものかと頭を悩ませています」
きわめつきは、中国地方で土建業をしている山崎健太郎さん(仮名、48歳)が道路工事現場で掘り出した“ヤバいもの”だ。
「山を切り拓いて新しい道路をつくる現場だったんですが、山を掘っていたらコンクリート詰めのドラム缶が出てきた。でも、コンクリートが詰まっているにしてはドラム缶の重量が軽いし、かなり異臭がする。その瞬間、ヤバいと思いました」
現場の作業員たちは互いに目配せをし、コンクリート詰めにされた「あるもの」を想像したが、親方が下した判断は「見なかったことにする」というものだった。工期が遅れ気味のため、警察を呼んで大ごとにすると作業が止まってしまうからだ。
「結局、土砂崩れなどでドラム缶が再び地表に出てくることがないように、新しくつくる道路の下を深く掘り、埋め直しました。その際は作業員全員でドラム缶に向けて手を合わせました」
さらにもうひとつ、建設現場や解体現場などの現場につきものであり、絶対に避けられないものが事故だ。