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とにかく多い犯罪の手口「後から合流」

 困った客の中でも本当に迷惑なのは、やはり犯罪行為に尽きる、という。

「食べ放題店って、どうしてもお客さんの立ち座りが多いから、それに紛れて食い逃げするお客さんも年に1~2人くらいはいます。あとは、学生さんのグループに多いんだけど、最初は少ない人数でオーダーして、後から何人か合流して料金をごまかそうとする奴らとか。

 それこそ団体で来られると、あとから増えても分かりにくい。でもウチとしてはそこは死活問題だから、人数はちゃんとチェックしていて、数が合わなかったら『最初に来た人数から増えてますよね? 後から誰か合流されましたか?』と聞くようにしてました。

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 素直に『ごめんなさい』と言ってくれるコもいれば、『いや~…』とかごまかそうとする奴らもいます。これ悪質だなと思ったら、『じゃあ防犯カメラでチェックしてきますね』っていうと、だいたい白状しますね」(新田さん)

食べ過ぎで出禁にしたことはない

 大食い自慢の人がよく「食べ過ぎて店を出禁になった」と武勇伝を語っているのを見かけるが、常識外にたくさん食べるお客さんは迷惑にならないのだろうか。

「食べ過ぎで出禁にしたことはないですね。店員の側からすると、お客さんが食べてる量なんて一切把握してないんです。

 他のお客さんがいないときに来て、ひとりで大量に食べたとかならまだ分かりますが、そうじゃない限りは、誰が何をどのくらい食べたなんて記録もしてないので、それで困るとか『お店が潰れちゃう!』とか、一切ないです。量に関してはいくらでも食べてください、という感じですね」(新田さん)

©️iStock.com

 最後に、食べ放題店にもクレーマーはいるのか聞いた。

「います。そもそもないメニューを『なんで置いてないの』って、文句を言ってくる人ですね。『牛タンは?』とか『ウニはないの?』とか、無理言うなって話。本部に届くアンケートにメニューの要望を書いてくれるならいいんですけど、わざわざ店員を呼んで口頭で『もっといい肉を出してよ』とか言われてもどうにもならないですから。

 中には『お寿司を食べに来たのにこれだけしかないのか!』と怒り出すお客さんもいて……。いや、ウチは寿司屋じゃないし、焼肉屋でもない。『食べ放題屋』なんですよ、って言いたくなりますね」(新田さん)

 人は「食べ放題」という自由を与えられると、なんでもやり放題だと思ってしまうのだろうか。コスパを求めたり、欲望を満たすのは構わないが、扱っているのは「食べ物」ということを忘れず、節度とマナーを守って利用してもらいたい。