今年8月27日、子供向けのアクセサリーや雑貨の製造、販売を手がける「サン宝石」が甲府地裁に民事再生法の適用を申請した。負債額は21億7000万円にのぼるという。

「サン宝石」はカタログ注文などの通信販売を中心に事業を拡大。2002年からは全国に直営店を展開し、2013年には約42億6000万円の売り上げを計上していた。

 そんな「サン宝石」がなぜ経営難に陥ってしまったのか、そして再建に向けて10月6日からスタートしたクラウドファンディングについて渡邊駿氏に話を聞いた。(全2回の2回目。前編を読む)

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“雑誌の衰退”や100円ショップの存在が大きく影響

――2013年頃には42億円もの売り上げを計上していたそうですが、その後、徐々に売り上げが落ち込んでいってしまったと。なぜ経営難に陥ってしまったのでしょうか。

渡邊駿専務取締役 ©文藝春秋(撮影・宮崎慎之輔)

渡邊 “雑誌の衰退”というのが大きく影響しております。弊社の広告、販促方法というのが雑誌に偏っておりましたので、その発行部数に応じて、新規会員様の獲得が減っていったことが、弊社の業績悪化に直結していたところでございます。

 他にも、以前より商業施設などが地方に増えまして、こういったファンシー雑貨を身近にお買い求めできる状況になりました。ですので、あえて通信販売を利用してお買い求めいただく方が徐々に減ってきたというところもあるかと思います。

――可愛い雑貨などを扱う100円ショップもたくさんありますよね。

渡邊 そうですね。100円ショップさんで販売しているような雑貨も本当にファンシーな可愛らしいものが多くて。(大きな100円ショップは)多店舗展開されている企業様ですので、大量ロットで卸値を下げて仕入れているのではないかと思います。そういう部分では、なかなか価格競争のところでは、太刀打ちすることができないという状況が続いておりましたので、そういう意味では一番のライバルというところではあったかと思います。

――現状の売り上げはどのくらいなのでしょうか。

渡邊 今の売り上げとしましては、全部合わせて3億円くらいですね。3億いかないくらいです。それくらい落ち込んできております。

――売り上げが減少していくなかで何か施策は講じたのでしょうか。

 

渡邊 例えば、幼稚園向けに電話で弊社のカタログを発送してもいいかどうかのアポイントをとって、了承いただいたところには、カタログを発送させていただいたりしたんですけれども。やはり雑誌からの新規の獲得数には及ばなかったというところでございます。

 弊社の売り上げはカタログの発送数に比例しているところがございますので、やはりカタログの発送数がどんどん減っていってしまうと、売り上げも年々下がっていくという状況でした。