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直営店の閉店要因はコロナ

――サン宝石の直営店「FANCY POCKET」は、全盛期には全国44店舗で展開されていましたよね。

渡邊 そうですね。この店舗事業も一部の店舗に関しては、事業としてうまくいった店舗もあったんですけれども、大多数の店舗に関しては、売り上げがあまり見込めず、数年のところで撤退することになったというのがあります。出店費用、撤退費用というところで大きく費用がかかりまして、それが業績を悪化させた一端になっているかと思います。

――9月26日に最後の店舗であった原宿店(2002年オープン)が閉店してしまったと。

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渡邊 フラグシップにもなっていたお店だったので、閉店を決断した時、非常に残念な思いではありました。閉店はコロナが要因で、売り上げが本当に立たなくなってしまったというところがあります。原宿店の一店舗だけで見ますと、コロナさえなければ普通に採算は取れていた状態ではありました。ですが、コロナの流行から約2年くらい経過しましたが、やはりお客様が来ない。弊社のターゲット層、小学生、幼稚園生、保育園生を連れたご家族様の姿が昔よりは見られなくなってしまったというのがございます。

――1カ月前に閉店を告知したそうですが、お客さんからは何か反応がありましたか。

渡邊 閉店の1カ月前に告知をしてから、店舗に訪れていただく方が非常に増えました。緊急事態宣言中だったんですけれども、来ていただくお客様の中には、「昔、買ってたよ」というお母様が自分の娘さんを連れていらっしゃった方が多くいました。そのなかで本当にありがたいことに、「お店がなくなっても、通販で頑張ってください」というような温かいお言葉を、頂戴いたしまして。そういったかたちで、サン宝石自体を応援していただけるお客様が非常に多くいるんだなと実感しました。

渡邊駿専務取締役 ©文藝春秋(撮影・宮崎慎之輔)

民事再生法適用はなかなか受け入れられるものではなかった

――今年の8月27日に民事再生法の適用を申請したということですが、そのときの社内の状況や従業員の方はどんな様子だったのでしょうか。

渡邊 従業員は現在、85名いるのですが、弊社は実は大きなリストラを2度(2017年・2019年)行っております。ここ5年ぐらいで一気に業績が落ちてきてしまったという流れで、従業員の皆様のなかでは、「まずいのではないか…」という雰囲気は漂っていたかもしれません。業績が悪いなか、ここ1年間はいろんな経費の削減を従業員の皆様にはお願いしてご協力していただいたというところがございます。本当に切り詰めたかたちで事業を継続していたので、働きづらさもあったかと思います。

 民事再生の申し立てに関しては、27日の申し立て後に従業員の皆様にも告知をさせていただきました。突然、「民事再生をする」とお伝えしたので、なかなか1回の説明では受け入れられるものではなかったと思います。