名古屋入管に収容中のスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが3月に死亡した問題。今月1日、ウィシュマさんの死の直前までの様子を映した監視カメラの映像が初めて遺族の弁護団に開示された。弁護士の駒井知会氏は、映像のあまりの惨さに「弁護士達も皆、呆然としていました」と筆者のインタビューで語った。弁護団は国に対して国家賠償を求めた訴訟を起こす。
開示された映像に弁護団は呆然とした
「なぜこんな状況でこの部屋にいさせ続けたのか。本当に皆、呆然としていました。弁護士たちも。全く理解できない世界でした」
こう語るのは遺族の弁護団の1人、駒井知会氏だ。
この映像は今年7月に遺族が、名古屋地裁に証拠保全を申し立て開示が認められたものだ。遺族と弁護団らは今月1日、2月22日からウィシュマさんが亡くなった3月6日までの7日間の映像、約1時間30分をみた。
死亡当日「指先がちょっと冷たい気もします」
駒井氏はウィシュマさんが亡くなった6日朝の映像について、こう語った。
「朝、職員が『おはよう』と声をかけるんですけど、ウィシュマさんはほとんど反応がありませんでした。しかし職員は『洗濯物後ろ置くね』とか『バイタルを測るね』とか、なぜか分かりませんが、声が若干明るい気がしたんです」
そして映像は当日ウィシュマさんが亡くなる直前に変わる。
「14時5分、職員が部屋に入ってきて、『サンダマリさん(※)、サンダマリさん?』と何度も呼びかけました。しかし反応がないので彼女はインターホンに向かって『指先がちょっと冷たい気もします』と報告をして。その後脈を取ろうと腕に手を当てたり、心臓のところに耳を当てたり。この時はさすがにまずいと思ったみたいですが、もう全く反応がありませんでした。そこで映像は終わっています」
(※)職員らは「サンダマリさん」と呼んでいた
「どう見ても食べさせるどころではないのに」
ウィシュマさんの妹ワヨミさん(2021年9月23日日帰国)とポールニマさんは、2021年8月12日月法務省で入管が編集した映像をみていた。しかし途中でワヨミさんが体調不良となり、閲覧は3月3日分までで中断。3月4日以降の映像をポールニマさんがみるのは初めてだった。