「4日の朝は、職員達がウィシュマさんの上半身を起こそうとすると、痛がって呻いていました。着替えさせようとしても、ほとんど動かない。車椅子に座っていてもうなだれて顔を上げることは出来ない。しかし職員は『食べないとねえ。食べるともっと動けるようになるよ』というようなことを言っていました。どう見てもそれどころではないのに」
「彼女たちも相当まずいなと思ったのでは」
前日の5日朝も、職員は『おはよう』とか『着替えようか?』とか話しかけていた。駒井氏は続ける。
「しかしすでにウィシュマさんはほとんど動かなく、うめき声や悲鳴をあげていました。この日は職員がこれまでの2人から4人に増えていました。彼女たちも相当まずいなと思っていたんじゃないでしょうか。彼女たちにしてみたら、介護の専門家ではないし、すごく気が重くなっていたのかもしれません。一方で『なんでこんなことさせられなきゃいけないの?』という気持ちもあったのではないでしょうか」
「しかし呼びかけても返事をしないウィシュマさんに、職員はおかゆを食べさせようとしているんです。そしてもう食べられる状態でないことがわかると、砂糖だけ口に含ませようと。あそこまで衰弱している人にお粥や砂糖を含ませようとするのは、もはや現代社会の考え方じゃないと思いました。とても現代日本の出来事だとは思えなかったです」(駒井氏)
死亡前日に仮放免の意思確認をしていた
その日には仮放免にむけた意思確認が行われていたこともわかった。
「18時頃、女性の職員が『ボスがお話ししたい』と伝えて。その後、職員の上司らしい男性がやってきて、すごく饒舌に話続けて。『良くなっている?』とずっと問いかけるんです。そして『仮放免のお願いしているでしょ。仮放免になったら●●さん(保証人)のところに行くの?』とか」(駒井氏)
駒井氏は「たぶんこの時には仮放免をしたかったんだと思います」と続ける。
「最後の意思確認のための面接をしたかったのでしょうが、ウィシュマさんの体調は明らかにそんな面会に耐えられる段階を過ぎていました。本当にひどいです」