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駒井氏のメモには死亡前日の面会の様子が綴られている

弁護団は国家賠償を求めた訴訟を起こす

映像をみながらポールニマさんは目に涙をためていた。気遣った駒井氏が「少し休む?」と聞くと、「大丈夫」と最後まで気丈に見続けた。その後裁判所が用意した長椅子に横になりながら、ウィシュマさんの思い出を駒井氏に話したという。

国会で記者会見する妹ポールニマさん(中央)

弁護団は今後国に対して国家賠償を求めた訴訟を起こす。提訴は名古屋地裁か東京地裁は未定だという。駒井氏はこう語る。

「裁判が始まれば映像提出の申し立てをする方針です。けれども、これとは別に入管はいつでも提出しようと思えば、提出できるんです。しかし様々な言い訳をして、最後の最後まで争ってこれから半年先になるか、もっと先になるのかわかりません」

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保安や名誉・尊厳は非公開の理由にならない

弁護団は映像を一般公開するつもりだと駒井氏はいう。

「遺族は映像を日本国民や外国人に見てもらいたいという意思を持っています。ですので、私たちは御遺族の許可を得て、一般公開する方向で考えております」

古川禎久法相は5日、就任後初めての記者会見で、映像の開示について「保安上の問題や亡くなった方の名誉、尊厳もあり、代理人を含めた公開は適当でない」と語っている。

既に弁護団に開示され、ウィシュマさんの遺族が公開を求めている中、これは理由にはならない。国連から直ちに見直すよう求められている入管制度のあり方について、国民的議論をするためにも映像公開は必要だ。

【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】