地下商業施設の中が迷いやすい
JR札幌駅は5面10線の島式ホームを持つ高架駅で、1階部分の東西二カ所に改札口があるオーソドックスなつくりだ。改札口の外にはそれぞれ自由通路の東コンコース、西コンコースがある。ホームの発着は、主に1~3番線が函館本線の上り(小樽方面)、4~6番線が千歳線、7・8番線が函館本線の下り(旭川方面)、9・10番線が札沼線(学園都市線)となっている。構造面も運用面も、特に難解な部分はない。
地下鉄は平仮名表記の「さっぽろ駅」で、西コンコースとその延長線上にある札幌駅前通の下に南北線が、駅東側の西2丁目通の下に東豊線が走っている。いずれもホームはJR札幌駅より南側に位置しているが、この配置もわかりやすい。
問題は網の目のように張りめぐらされている地下通路だ。札幌駅周辺には四つの地下商業施設がある。JR札幌駅の直下にあるのが「パセオ」で、その南側のJRタワー東棟(高層棟)と中央棟の下には「札幌ステラプレイス」がある。さらにその南は、東側が「エスタ」、西側が「アピア」となっていて、この四つの商業ゾーンはJRタワースクエアと総称されている。アピアは地下街だが、他は上階の建物と一体となった商業施設だ。
この地下商業施設の中が迷いやすい。南北方面の移動は、1階の東西コンコース下に「イーストアベニュー」「ウエストアベニュー」という広い自由通路があるから問題ないのだが、東西移動が実に面倒なのだ。デパ地下のような売り場の間を通り抜ける細い通路を通り抜けなければならず、特にパセオとエスタの構造は複雑だ。大丸札幌店という、本物のデパ地下も隣接しているから、なおさらややこしい。
ウエストアベニューを南進すればたどり着く南北線はともかく、東豊線に向かうにはこの複雑な地下商業施設を通り抜ける必要がある。しかも四つの商業ゾーンのうち、地下で東豊線とつながっているのが、よりによって難物のパセオとエスタなのだ。特にエスタと東豊線の接続口は狭く、案内表示もシンプルすぎて目立たない。
迂回するなら、地上が一番わかりやすい。JR札幌駅の改札は1階だから、そのまま屋
外を進むだけでいい。ただし札幌には、冬に雪という大敵が来襲する。積雪期にJRと東豊線を乗り換える場合は、パセオとエスタの地下から通じる接続口をなんとか見つけ出すか、重装備で屋外を歩くかという選択を迫られる。